ボルチモアにあるメリーランド州最大の美術館。新古典主義の巨匠ジョン・ラッセル・ポープが手がけ、1929年に開館した。列柱を構えた古典的な建物で、マティスを核とするコーン・コレクションで知られる。
§1 — 概要概要
ボルチモア美術館(Baltimore Museum of Art、BMA)は、アメリカ・メリーランド州ボルチモアにある美術館である。ジョンズ・ホプキンス大学の隣に立つ建物は、新古典主義建築の代表的な担い手ジョン・ラッセル・ポープの設計により1929年に開館した。マティスの作品を多く含むコーン・コレクションをはじめ、9万点を超える収蔵品で知られる、メリーランド州最大の美術館である。
歴史
美術館そのものは1914年、ボルチモアにふさわしい美術館を求める市民によって設立された。当初は定まった建物を持たず、1922年からはギャレット邸を仮の住まいとした。恒久的な館を建てる地としてワイマン・パークが選ばれ、ポープが設計者に迎えられた。定礎は1927年、開館は1929年4月である。以後、収蔵品の増加にあわせて幾度も増築され、1950年代の三つの棟や、1982年の東棟(バウアー・ルイス・アンド・スロワーの設計)などが、ポープの本館と調和するよう加えられてきた。
建築的特徴
本館は、左右対称の構成と列柱を備えた、簡潔で記念碑的な新古典主義の建築である。正面には古典神殿に倣ったポルティコが構えられ、内部は中央のスカルプチャー・コートを中心に各展示室が連なる。天窓や高窓からの自然光を生かす採光は、ポープが手がけた一連の美術館建築に共通する手法であり、のちのナショナル・ギャラリーにも受け継がれた。装飾を抑えた荘重な古典主義は、永続性と威厳を求めた当時の公共建築の理想をよく表している。
意義・現在
ボルチモア美術館は、ポープにとって最初の美術館建築であり、その後に彼が手がける首都ワシントンの公共建築の出発点となった。古典主義が近代建築に取って代わられていく時代にあって、本館は20世紀前半のアメリカにおける古典復興の到達点の一つを示している。今日もコーン・コレクションを核とする充実した収蔵品とともに、街の文化の中心であり続けている。