グアダルーペ聖堂 Basilica of Our Lady of Guadalupe
メキシコシティ北部、テペヤックの丘の麓に建つカトリックの聖堂。褐色の聖母「グアダルーペの聖母」の聖画像を安置するため、ペドロ・ラミレス・バスケスらが1976年に完成させた円形の巡礼聖堂である。
§1 — 概要概要
グアダルーペ聖堂(Basílica de Santa María de Guadalupe)は、メキシコシティ北部、テペヤックの丘の麓に建つカトリックのバシリカである。メキシコ人の信仰の中心である「グアダルーペの聖母」の聖画像(ティルマ)を安置し、年間およそ二千万の巡礼者を集める、世界有数のマリア巡礼地として知られる。建築家ペドロ・ラミレス・バスケスを中心とする設計陣が手がけた円形の現聖堂は、1976年に献堂された、二十世紀メキシコを代表する宗教建築である。
歴史
テペヤックの丘は、十六世紀以来グアダルーペの聖母信仰の聖地として発展した。十八世紀初頭には旧聖堂(1695–1709、ペドロ・デ・アリエタ設計)が建てられたが、メキシコシティ特有の軟弱な地盤の沈下により傾き、増え続ける巡礼者を収容しきれなくなっていた。そこで聖画像を安全に安置し、より多くの参拝者を迎えるべく、新聖堂の建設が計画される。設計はラミレス・バスケスのほか、ホセ・ルイス・ベンリウレ、アレハンドロ・ションホーファー、修道士ガブリエル・チャベス・デ・ラ・モラ、ハビエル・ガルシア・ラスクラインらの共同による。1974年に着工し、1976年10月12日に完成、聖画像は行列とともに新聖堂へ遷された。
建築的特徴
現聖堂は直径約百メートルの円形平面をもち、砂漠を旅した契約の櫃を納めた天幕を象徴するとされる。屋根は鉄筋コンクリートの構造体を、酸化して緑青を帯びた銅板で覆う。堂内は柱を排した無柱空間として設計され、円周のどの位置からも正面に掲げられた聖画像を仰ぐことができる。祭壇背後の聖画像の下には動く歩道が設けられ、絶えず訪れる巡礼者が流れを止めずに拝観できるよう配慮されている。一万人規模を収容する内部は、モダニズムの合理性と大衆的な巡礼の機能とを結びつけた点に特色がある。
意義・現在
グアダルーペ聖堂は、スペイン征服後のメキシコにおける土着とカトリックの融合を象徴する国民的聖地であり、現聖堂はその機能を二十世紀の技術で更新した建築である。旧聖堂も隣接して保存され、新旧の聖堂と付属の礼拝堂群が丘一帯に聖域を形成する。毎年十二月十二日の祭日には数百万の参拝者が集い、ラテンアメリカ最大級の巡礼地としての役割を今日も担っている。