パリ11区の興行場。1865年に東洋趣味のシノワズリ様式で開業し、150年以上にわたりパリの大衆文化を支えてきた、フランスの登録歴史記念物。
§1 — 概要概要
バタクラン(Bataclan)は、フランスの首都パリ11区、ヴォルテール大通りに面して建つ興行場である。19世紀半ばに東洋趣味のシノワズリ様式で建てられ、カフェ・コンセールから映画館を経て、現在はパリを代表するコンサート会場のひとつとして知られる。名称はオッフェンバックのオペレッタに由来する。
歴史
建築家シャルル・デュヴァルの設計により、1864年に着工され、1865年2月3日に「グラン・カフェ・シノワ(中国風大カフェ)」として開業した。約1500人を収容し、開業当初は中国風のパゴダ屋根をいただく異彩を放つ建物であった。20世紀に入ると用途を変えながら営業を続け、1932年の映画館への改装では木造の小屋組が鉄骨に置き換えられ、特徴的なパゴダ屋根は失われた。
1960年代末に映画館としての営業を終え、1969年に音楽の舞台として復活すると、1970年代以降はロックの殿堂として数多くの著名な音楽家を迎えた。2006年には、ファサードが創建当初の色調に塗り直され、オスマン様式の街並みのなかで際立つ東洋風の外観がよみがえった。
2015年11月13日、パリ同時多発テロ事件の標的のひとつとなり、コンサート中の銃撃により90人が犠牲となった。約1年間の閉鎖を経て、2016年11月12日に再開した。
建築的特徴
シノワズリの装飾的な性格が、この建物の本質をよく表している。独立した構造様式というよりも、ファサードを彩る東洋風の意匠としてシノワズリが用いられており、創建当初は反り返った塔屋根や色鮮やかな装飾が異国情緒を演出していた。内部は1階にカフェと劇場、2階に舞踏場を備える構成であった。建物はフランスの登録歴史記念物(モニュメント・イストリック)に指定されている。
意義・現在
バタクランは150年以上にわたってパリの大衆文化を支えてきた生きた興行場である。2015年の悲劇を経てなお公演の場であり続け、都市の記憶とともに、文化が集う場としての役割を果たしている。