ジョージアの首都トビリシ、クラ川にかかる弓形の歩行者橋。イタリアの建築家ミケーレ・デ・ルッキの設計で2010年に開通した。波打つガラスと鋼の屋根を無数のLEDが照らす。旧市街と対岸の公園を結び、中世の街並みのなかに現代を持ち込む、トビリシの新しい象徴である。
§1 — 概要概要
ジョージアの首都トビリシを流れるクラ川(ムトゥクヴァリ川)にかかる、歩行者専用の橋である。イタリアの建築家ミケーレ・デ・ルッキの設計により、2010年に開通した。鋼とガラスでできた弓形の橋で、波打つ屋根を無数のLEDが彩る。中世以来の旧市街と、対岸のリケ公園とを結ぶ、トビリシを代表する現代建築の一つである。
歴史
橋は、旧市街と、川の左岸に新たに整えられたリケ公園とを直接つなぐために、市の主導で計画された。2008年の戦争をへて、「平和」を願う象徴としての意味も込められている。
橋の構造はイタリアで製作され、およそ200台のトラックでトビリシまで運ばれて、現地で組み立てられた。工事はおよそ1年で進み、2010年5月6日、ジョージアの守護聖人である聖ゲオルギオスの祝日に開通した。古い街並みのただなかに現れた前衛的な姿には、批判の声も上がったが、今ではトビリシを象徴する風景の一つとなっている。
建築的特徴
橋は、四本の鋼の支柱に支えられ、川の上に弓のような曲線を描く。全長はおよそ150メートル。歩道をおおう屋根は、鋼の骨組みとガラスでできた、波のようにうねる曲面である。屋根には千あまりのLEDが仕込まれ、日没前から夜を通して、さまざまな光のプログラムを映し出す。手すりのガラスには、人が通ると反応する照明も組み込まれている。光は、人々のあいだの平和をうたうものとして構想された。
意義・現在
平和の橋は、中世の教会や要塞が見守る古い街に、ガラスと光による現代を持ち込んだ建築である。その対比は当初こそ物議をかもしたが、今ではトビリシのもっとも知られた風景となり、ポスト・ソビエトのジョージアが未来へ向かう姿を象徴している。日々、市民と旅行者が行き交う、生きた都市の舞台である。
関連する建築
Related※ CC0(パブリックドメインに準じ、クレジットは任意)。