ロンドン中心部フィッツロヴィアに建つ通信塔。1961年に着工し1965年に開業した高さ189メートルの塔で、竣工から1980年までロンドンで最も高い構造物であった。回転展望レストランでも親しまれた。
§1 — 概要概要
BTタワー(BT Tower)は、ロンドン中心部フィッツロヴィアに建つ通信塔である。マイクロ波による長距離通信の中継拠点として建設され、当初は郵便局が運営したことから、ポスト・オフィス・タワーの名で広く知られた。細身の円筒形が空へ伸びる姿は、竣工以来ロンドンの新しいランドマークとなり、1960年代の英国が技術と近代を誇示した記念碑でもある。
歴史
設計は、公共建築事業省(Ministry of Public Building and Works)の主任建築家エリック・ベッドフォードが、上級建築家G・R・イェーツを実務責任者として担った。工事は1961年6月に始まり、建設中は頂部にクレーンを載せたまま伸び続けるその姿がロンドン中から見え、注目を集めた。塔は1964年に竣工し、1965年10月8日に当時のハロルド・ウィルソン首相によって公式に開業、翌1966年には一般公開された。運営主体の変遷にともない、名称はポスト・オフィス・タワー、テレコム・タワーを経て、1991年に現在のBTタワーとなった。
建築的特徴
本体の高さは177メートル、頂部のアンテナ架台を含めると189メートルに達する。マイクロ波アンテナの安定した架台となるよう、円筒形は風速150キロメートル毎時の強風でも25センチメートル以上は揺れないよう設計された。過熱を防ぐため、ガラスの外装には色付きのものが用いられている。上層にはバトリンズ社が運営する回転展望レストランが設けられ、1966年から1980年まで、ゆっくり回る床から市街の眺望を提供した。
意義・現在
BTタワーは、戦後英国の通信インフラと近代建築を象徴する構造物である。竣工から1980年まではロンドンで最も高い構造物であり、2003年には歴史的建造物として第二級指定建築物(グレードII)に登録された。長く一般公開は停止されていたが、通信塔としての役割を終えたのちも保存され、近年は新たな活用が計画されている。設計者ベッドフォードは、政府の建築家として名を知られぬまま、ロンドンで最も目立つ建築のひとつを残した。