ドバイの沖、人工島に立つ超高層の高級ホテル。1999年開業。高さ321メートル。アラブの帆船ダウの帆をかたどった姿は、ドバイの象徴として世界に知られる。鉄骨の外骨格とテフロン加工の幕に包まれた、ハイテク建築の名作である。
§1 — 概要概要
ブルジュ・アル・アラブ(برج العرب)は、アラブ首長国連邦・ドバイの沖、人工島の上に立つ、超高層の高級ホテルである。「アラブの塔」を意味するその名のとおり、高さは321メートルにおよび、完成当時は世界一高いホテルであった。アラブの帆船ダウの帆を思わせる姿は、ドバイの象徴として、また現代建築の一つの顔として、広く世界に知られている。
歴史
ドバイを、ひと目でそれと分かる建築によって世界に印象づけたい——その求めに応えて、イギリスの建築家トム・ライトが、帆の形を描きだした。シドニーのオペラハウスや、パリのエッフェル塔のように、都市そのものを象徴する建築をという構想であった。
工事は1994年に始まる。まず、海を埋め立てて人工島を築くことに、数年が費やされた。海上に高層建築を立てるという難題に対し、岸から280メートルの沖合に、堅固な基盤がつくられた。タワーの建設をへて、1999年12月、ホテルは開業した。莫大な費用をかけた豪奢なつくりは、賞賛とともに、華美に過ぎるという批判もまた呼んだ。
建築的特徴
建物は、二枚の翼がV字に開いて「帆柱」をかたちづくり、その間を、テフロン加工をほどこした白い幕がふさぐ。この幕は、世界最大級の膜の壁の一つで、光をやわらかく通し、熱を返す。構造を支えるのは、鉄筋コンクリートの塔と、それを外から包む鉄骨の外骨格である。露わにされた斜めの大梁が、海上の強い風に抗いながら、内部を柱のない広やかな空間に保つ。内には世界有数の高さの吹き抜けが立ちあがり、海上へ張りだしたレストランやヘリポートが、その大胆な構造を物語る。
意義・現在
ブルジュ・アル・アラブは、構造の技術を惜しみなく注ぎこんで、一つの強い形を立ちあげた、ハイテク建築の名作である。砂漠の都市が、たった一棟の建築によって、世界にその名を轟かせうることを示した。のちのブルジュ・ハリファやパーム・ジュメイラに先立つ、現代ドバイの最初の金字塔であり、今もなお、その帆は湾上にひるがえりつづけている。