ケープタウン・スタジアム Cape Town Stadium
南アフリカ・ケープタウンのグリーンポイントに立つ、2010年サッカーワールドカップのために建設された競技場。ドイツのフォン・ゲルカン・マルク・アンド・パートナーズが設計し、シグナル・ヒルと大西洋にはさまれた立地に半透明の屋根が浮かぶ。
§1 — 概要概要
ケープタウン・スタジアムは、南アフリカ共和国西ケープ州のケープタウン、グリーンポイント地区に立つ多目的競技場である。2010年に同国で開催されたサッカーワールドカップの会場の一つとして建設され、サッカーとラグビーに用いられている。設計はドイツの建築事務所フォン・ゲルカン・マルク・アンド・パートナーズ(gmp)が担い、地元の設計事務所が協働した。シグナル・ヒルとテーブル・マウンテン、そして大西洋にはさまれた立地が、この建築の大きな特徴である。
歴史
計画段階では、隣接地にあった旧競技場の名にちなんでグリーンポイント・スタジアムと呼ばれていた。建設は2007年に始まり、2009年末に完成した。ワールドカップでは準決勝を含む複数の試合が行われ、大会後は座席数を本大会時の約6万4千席から約5万5千席へと縮小して運用されている。現在は地元のラグビーチームやサッカークラブの本拠地として使われ、2021年以降は命名権により別称でも知られる。
建築的特徴
スタジアムを覆うのは、ガラス繊維の膜とガラスを組み合わせた半透明の膜構造の屋根である。円形に近い平面の外周をなだらかな曲面が取り巻き、光を透過しながら観客席を雨と風から守る。透明感のある外皮は、海と空、背後の山並みといった周囲の自然になじむよう意図されており、夜には内部の光を淡くにじませる。重い壁で囲うのではなく、軽い膜で包むという発想が、開放的でありながら保護された観戦空間を生んでいる。
意義・現在
ケープタウン・スタジアムは、2010年ワールドカップという南アフリカにとって歴史的な大会を象徴する建築の一つである。観光地として知られるビクトリア&アルフレッド・ウォーターフロントに近く、市街地と海辺をつなぐ位置にあることから、大会後も市の景観を構成する重要な存在となっている。自然環境と一体になった軽やかな造形は、現代の大規模スタジアムが立地の魅力をいかに取り込みうるかを示す例として評価されている。