カターニアのドゥオーモ Catania Cathedral
イタリア、シチリア島のカターニアに建つ、守護聖人アガタに捧げられた大聖堂。11世紀末にノルマン人ルッジェーロ1世が創建したが、たびたびの地震で被災し、1693年の大地震ののち、ヴァッカリーニによってシチリア・バロックの様式で再建された。背面にはノルマンの後陣が残る。
§1 — 概要概要
イタリア、シチリア島東岸の都市カターニアに建つ、ローマ・カトリックの大聖堂である。街の守護聖人である聖アガタに捧げられている。11世紀末にノルマン人が築いた聖堂を母体としながら、たびたびの地震と火山の災いをくぐり抜け、現在の姿はおもに18世紀のシチリア・バロックによる。エトナ山のふもとの街を象徴する建築である。
歴史
聖堂は、シチリアをイスラム勢力から奪ったノルマンの伯ルッジェーロ1世により、1078年ごろ、ローマ浴場の跡地に着工された。城塞のように堅固な聖堂であったという。1169年の地震で大きく崩れ、後陣を残してほぼ失われた。
たびたびの被災ののち、決定的だったのは1693年の大地震である。シチリア南東部一帯を襲ったこの地震は、カターニアの街もろとも聖堂をほぼ倒した。復興にあたり、街は当時の流行であったバロック様式を選んだ。建築家ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴァッカリーニが、新たなバロックの正面を設計し、18世紀のなかばにかけて現在の姿が整えられた。
建築的特徴
ピアッツァ・デル・ドゥオーモに向かう正面は、ローマの劇場から運ばれた花崗岩の円柱と、大理石の彫像で飾られた、シチリア・バロックの華やかな構成をとる。一方、建物の背面には、黒い溶岩石でできた三つの半円形の後陣が残る。これはノルマン時代の名残であり、明るいバロックの正面との対比が、聖堂のたどった歴史を物語る。内部には、カターニア生まれの作曲家ヴィンチェンツォ・ベッリーニの墓がある。
意義・現在
カターニアのドゥオーモは、地震と噴火に幾度も襲われながら、そのつど甦ってきた街の不屈の歴史を、そのまま体現する建築である。ノルマンの礎の上にバロックの衣をまとったその姿は、災害とともに生きてきたシチリアの都市の、ひとつの典型といえる。今も聖アガタ信仰の中心であり、街の祭りの舞台であり続けている。
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