冬宮殿 Winter Palace
サンクトペテルブルクのネヴァ川畔に建つ大宮殿。1762年から1917年まで歴代ロシア皇帝の居所だった。ラストレッリの設計によるエリザヴェータ・バロックの傑作で、緑と白に金を配した壮麗な姿で知られる。現在はエルミタージュ美術館の本館となっている。
§1 — 概要概要
冬宮殿(冬宮)は、ロシアのサンクトペテルブルク、ネヴァ川のほとりに建つ大宮殿である。1762年から1917年まで、歴代ロシア皇帝の冬の居所として用いられた。青みがかった緑と白の壁面に金色の装飾をちりばめた壮麗なバロックの姿で知られ、現在はその大半が、世界有数の美術館エルミタージュの中心的な建物となっている。
歴史
現在の冬宮殿は、女帝エリザヴェータの命により、イタリア出身の建築家バルトロメオ・ラストレッリの設計で、1754年から1762年にかけて建てられた。それまでにも同名の宮殿が幾度か建て替えられており、これがその到達点にあたる。完成の直前にエリザヴェータは世を去り、宮殿はエカチェリーナ2世の時代に皇帝の正式な居所となった。1837年には大火で内部を焼失したが、ヴァシーリー・スタソフらによって、外観はラストレッリの姿のままに再建された。1917年、十月革命の際には、ここに置かれた臨時政府が革命勢力に包囲され、帝政の終わりを象徴する舞台ともなった。
建築的特徴
冬宮殿は、エリザヴェータ・バロックを代表する建物である。ネヴァ川や宮殿広場に面した長大なファサードは、二層に重ねた白いピラスターで律せられ、窓まわりの豊かな装飾や、屋根の手すりに並ぶ彫像が、華やかな陰影を生んでいる。内部には1,500ともいわれる部屋が連なり、扉を一直線に揃えて見通しをつくるエンフィラードの手法で、壮大な空間が組み立てられている。金箔と大理石で飾られた大階段や広間は、帝政ロシアの富と権勢をいまに伝えている。
意義・現在
冬宮殿は、エカチェリーナ2世が収集した美術品を母体とするエルミタージュ美術館の本館として、世界中から訪れる人々を迎えている。サンクトペテルブルクの歴史地区の中核をなす建物として、1990年にユネスコ世界遺産に登録された。
関連する建築
Related※ CC BY-SA 4.0:表示(クレジット)と継承が必要