ドイツ・ドレスデンのプロテスタント教会。ゲオルク・ベーアの設計により1726年に着工し1743年に完成したバロックの傑作で、巨大な石造ドームで知られる。1945年の空襲で破壊され、1994年から2005年にかけて再建された。
§1 — 概要概要
聖母教会(Frauenkirche)は、ドイツ・ザクセン州の州都ドレスデンに建つルター派(プロテスタント)の教会である。ゲオルク・ベーアの設計による18世紀のバロックの傑作で、「石の鐘」と呼ばれる巨大な石造ドームによって広く知られる。第二次世界大戦で破壊された後に20世紀末に再建され、和解の象徴ともなった建築である。
歴史
礎石は1726年8月26日に据えられた。カトリックに改宗した君主のもとでなおプロテスタント信仰を守ろうとする、ドレスデン市民の意志を示す建築として構想されたものである。設計者のベーアは完成を見ることなく1738年に没し、教会は1743年に竣工した。1945年2月のドレスデン空襲で焼け落ち、その瓦礫は約半世紀にわたって戦争の記憶を伝える記念碑として残された。ドイツ再統一後の1994年に再建が始まり、外観は2004年、内部は翌2005年に完成して、同年10月30日に再奉献された。
建築的特徴
本堂は方形の平面に巨大なドームを載せた集中式の構成をとる。砂岩を積み上げた一体の石造ドームは、その重量から「石の鐘(Steinerne Glocke)」の異名をもち、高さは約91メートルに達する。八本の柱がドームの荷重を受け、内部は明るく開放的な礼拝空間をなす。再建にあたっては、瓦礫から回収された旧材が可能なかぎり元の位置へ戻され、黒ずんだ古材と新しい砂岩とが斑に入り混じる外壁が、破壊と再生の歴史をそのまま物語っている。
意義・現在
聖母教会は、ドイツ・バロックの教会建築の到達点のひとつであると同時に、戦災からの再建を通じて新たな意味を獲得した稀有な建築である。旧東ドイツ時代に廃墟のまま留め置かれた経緯と、再統一後に国際的な寄付を得て甦った経緯は、20世紀の歴史を凝縮している。周囲のノイマルクト広場もあわせて再建され、現在はドレスデンを代表する建築として、礼拝と演奏会の場であり続けている。