ロンドンのカナリー・ワーフに建つ高層オフィス複合。高さ200mの25カナダ・スクエア(通称シティ・タワー)を中核とし、シティグループの欧州・中東・アフリカ統括拠点として2001年に完成した。
§1 — 概要概要
シティグループ・センター(Citigroup Centre)は、ロンドン東部の再開発地区カナリー・ワーフに建つ高層オフィス複合である。金融大手シティグループの欧州・中東・アフリカ(EMEA)統括拠点として用いられ、33カナダ・スクエアと25カナダ・スクエアの二棟からなる。中核をなす25カナダ・スクエアは高さ200m・45階建てで、竣工時にはワン・カナダ・スクエアに次ぐ英国第2位の高さであった。
歴史
カナリー・ワーフは20世紀末、旧ドックランズの港湾跡地を金融街へと転換する大規模再開発の舞台となった。その一画で、先行する33カナダ・スクエアはフォスター・アンド・パートナーズの設計により1999年に完成した。主棟の25カナダ・スクエアはシーザー・ペリ&アソシエイツの設計、実施設計をアダムソン・アソシエイツが担い、1998年に着工して2001年に竣工した。完成と同時にシティグループが入居し、両棟は長く同社の拠点として一体運用された。2023年には二棟が分離され、25カナダ・スクエアは大規模な改修に入っている。
建築的特徴
25カナダ・スクエアは、鉄骨フレームに総ガラスのカーテンウォールをまとう、後期モダニズムの典型的な高層オフィスである。直方体の量塊を抑制された比例でまとめ、頂部を段状に処理することで超高層群のスカイラインに律動を与える。装飾を排し、構造とファサードのモデュールを露わにする手法は、シーザー・ペリが各地の高層建築で展開した語彙に連なる。内部は大規模な無柱空間とトレーディングフロアを確保するため、設備とコアを効率的に集約した平面計画をとる。先行する33カナダ・スクエアは、丸みを帯びたガラスの外皮と中央アトリウムを特徴とし、主棟とは対照的な造形をみせる。
意義・現在
シティグループ・センターは、ロンドンが国際金融都市として再編されるなかで生まれた、カナリー・ワーフ第二世代の高層建築を代表する。歴史的様式をもたない純然たる業務建築でありながら、その規模と立地は1990年代以降のロンドンの都市像を象徴している。2023年の二棟分離と改修は、竣工から二十余年を経た超高層オフィスが、働き方や環境性能の変化に応じて更新されていく現在の局面を映している。