クレメンティヌム Clementinum
プラハ旧市街にあるバロックの大建築複合体。イエズス会の学院として整備され、17世紀後半から18世紀前半に現在の姿が築かれた。バロック図書館や天文塔で知られ、現在はチェコ国立図書館が入る。
§1 — 概要概要
クレメンティヌム(チェコ語: Klementinum)は、プラハ旧市街に広がるバロック建築の複合体。もとはイエズス会の学院として整備され、現在はチェコ国立図書館が入る。敷地面積は約2万平方メートルに及び、プラハ城に次ぐ市内第二の規模をもつ建築群とされる。
歴史
この地には11世紀に聖クレメンス礼拝堂があり、中世にはドミニコ会の修道院が置かれた。1556年にイエズス会の学院となり、1622年にカレル大学の蔵書が移されて学院と大学が結びついた。現在のバロックの建築群は、カルロ・ルラーゴが17世紀半ば(1653年頃)に着手した再建に始まり、フランティシェク・マクシミリアーン・カニュカらが手がけた1709年から1726年の主要建設期に、ほぼ現在の姿が整えられた。イエズス会が1773年に解散したのち、1781年には国立図書館の前身が設立された。1791年には皇帝レオポルト2世の戴冠を記念する産業博覧会の会場ともなっている。
建築的特徴
複合体は、いくつもの中庭を囲んで礼拝堂・図書館・学舎・天文塔が連なる。なかでも1722年に整えられたバロック図書館の大広間は、天井のフレスコ画と、地球儀・天球儀を備えた室内で名高い。塔状の天文塔は当時の天文・気象観測の拠点であり、1775年に始まった気象観測は今日まで連続して記録が続けられている。鏡の礼拝堂など、内部には豊かな装飾を凝らした空間が点在する。
意義・現在
クレメンティヌムは、中欧におけるバロック建築と、イエズス会が担った学術の拠点とが結びついた稀有な遺構である。長くチェコの国立・大学図書館を収め、現在もチェコ国立図書館として用いられている。プラハ歴史地区の一部として世界遺産に含まれ、バロック図書館と天文塔は見学路として公開されている。