ミラベル宮殿 Mirabell Palace
ザルツブルクに建つバロック様式の宮殿。1606年に大司教ヴォルフ・ディートリヒが愛人ザロメ・アルトのために「アルテナウ城」として築き、1721年からヨハン・ルーカス・フォン・ヒルデブラントが壮麗なバロック宮殿へと改築した。
§1 — 概要概要
ミラベル宮殿(Schloss Mirabell)は、オーストリアのザルツブルク旧市街の北、ザルツァッハ川沿いに建つ宮殿である。広大な幾何学式庭園「ミラベル庭園」とともに、ザルツブルクを代表するバロック建築のひとつに数えられる。今日では市庁舎として用いられ、大理石の間は世界でもっとも美しい婚礼の間のひとつとして知られる。
歴史
起源は1606年、ザルツブルク大司教ヴォルフ・ディートリヒ・フォン・ライテナウが、愛人ザロメ・アルトのために築いた「アルテナウ城」にさかのぼる。後に「ミラベル」と改称されたこの宮殿は、1721年から1727年にかけて、当代随一の建築家ヨハン・ルーカス・フォン・ヒルデブラントの手で壮麗なバロック宮殿へと改築された。しかし1818年の大火で建物の大半が焼失し、その後は簡素な新古典主義様式で再建された。火災を免れた大理石の間と、天使像で飾られた壮麗な階段は、ヒルデブラントによるバロック期の意匠を今に伝えている。
建築
現在の外観は、火災後の再建によって簡素な新古典主義の装いをまとう。一方、内部にはバロック期の華麗な装飾がよく残る。なかでも「天使の階段」は、ゲオルク・ラファエル・ドナーの工房が手がけた愛らしい天使の彫像が手すりを彩り、来訪者を二階の大理石の間へと導く。大理石の間はスタッコ装飾と豊かな色大理石によって荘厳に仕立てられ、かつてモーツァルト父子も演奏したと伝えられる。
現在
宮殿はザルツブルク市の市庁舎として使われ、大理石の間は演奏会や結婚式の会場として広く開かれている。前面に広がるミラベル庭園は、映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台としても世界的に知られ、ザルツブルク市街の歴史地区を構成する一要素として、ユネスコ世界遺産に登録されている。