シアトルの摩天楼で、ワシントン州で最も高い超高層ビル。1985年竣工、76階・高さ約284メートル。暗色ガラスをまとう三つの円弧を背中合わせに組んだ独特の姿で、街の景観論争の的にもなった。
§1 — 概要概要
コロンビア・センター(Columbia Center)は、アメリカ合衆国ワシントン州シアトルのダウンタウンに建つ超高層ビルである。1985年の竣工時から今日に至るまでワシントン州で最も高い建築物であり、76階・高さおよそ284メートルを数える。暗色のガラスをまとった三つの円弧を背中合わせに組み合わせた独特の輪郭で知られ、その威容ゆえに建設当時は街の景観をめぐる論争を呼び起こした。
歴史
建設を主導したのは、地元の不動産開発業者マーティン・セリグ(Martin Selig)である。設計はチェスター・L・リンゼイ・アーキテクツ(Chester L. Lindsey Architects)が担当し、1982年に着工して1985年に完成した。竣工時にはシアトルおよび太平洋岸北西部で最も高く、ミシシッピ川以西で最も高い超高層ビルでもあった。当初は1000フィートを超える計画もあったが、空港への影響を考慮した連邦航空局(FAA)の高さ制限によって現在の規模に調整された。建物の名称は、コロンビア・シーファースト・センター、バンク・オブ・アメリカ・タワーと変遷し、2005年に再びコロンビア・センターへ戻された。
建築的特徴
平面は、三つの凹曲面を西・南・東へ向けて配し、それぞれの面から眺望を確保する構成をとる。外装には黒に近い暗色のガラスカーテンウォールを用い、垂直性を強調した塔身は後期モダニズムの硬質な美意識を体現している。三つの円弧が互いに高さをずらしながら立ち上がる姿は、見る角度によって表情を変え、シアトルの空に鋭い陰影を刻む。
意義・現在
圧倒的な高さと量塊は、完成当時のシアトル市民に衝撃を与え、市街地の高さ制限を求める動きを促す契機ともなった。最上部近くには展望施設や会員制クラブが設けられ、エリオット湾やレーニア山を見晴らす眺望が楽しめる。都市のスカイラインを長く支配してきたこの塔は、シアトルの成長と摩天楼建築の一時代を象徴する存在であり続けている。