ダービー博物館・美術館 Derby Museum and Art Gallery
イングランド中部ダービーの市立博物館・美術館。実業家M・T・バスの寄贈により1879年に開館したヴィクトリアン・ゴシックの建築で、リチャード・クニル・フリーマンが設計した。画家ジョゼフ・ライトの世界最大の作品群を収蔵する。
§1 — 概要概要
ダービー博物館・美術館(Derby Museum and Art Gallery)は、イングランド中部ダービーの中心部に建つ市立施設である。実業家マイケル・トマス・バスの寄贈により1879年に開館したヴィクトリアン・ゴシック様式の建築で、ダービー出身の画家ジョゼフ・ライト(ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー)の世界最大の作品群を収蔵することで知られる。
歴史
博物館の起源は1836年に設けられた会員制のダービー町・州博物館にさかのぼる。建築家リチャード・クニル・フリーマンの設計による新館は、1876年に図面が公表され、1879年6月に一般公開された。美術館部門はその後1882年に開設されている。1936年にはアルフレッド・グッディの絵画コレクションが寄贈され、その遺贈金により1964年に増築棟が完成して現在の規模となった。建物は19世紀イングランドの公共建築が中世様式を取り入れた典型例である。
建築的特徴
赤煉瓦を主体とした19世紀イングランドのゴシック・リヴァイヴァル様式で、「ドメスティック・フレミッシュ・ゴシック」と評される。中世の宗教建築ではなく、図書館や博物館といった近代の公共施設に中世的な意匠を移し替えた点に、時代の建築観が表れている。装飾彫刻を交えた外観は、産業都市ダービーの市民的な誇りを可視化する意図を帯びていた。尖頭アーチや切妻、煉瓦の色調による陰影が、機能本位の近代施設に歴史的な威厳を与えている。
意義・現在
ダービー博物館・美術館は、ヴィクトリア時代の篤志家による寄贈で成立した公共博物館として、19世紀イギリスの文化制度を体現する施設である。建物はイングランドの第二級指定建造物(Grade II listed building)に登録されている。とりわけジョゼフ・ライトの啓蒙期の画作コレクションは、産業革命の故地ダービーの歴史と深く結びついており、今日も無料で一般に公開されている。