ビッグ・ベン Big Ben
ロンドン、ウェストミンスター宮殿の北端に立つ時計塔。本来は塔内の大鐘の愛称だが、塔そのものを指して呼ばれる。1859年完成、高さ96メートル。チャールズ・バリーとピュージンによるゴシック・リヴァイヴァルの傑作で、英国の象徴として広く知られる。
§1 — 概要概要
ビッグ・ベン(Big Ben)は、ロンドンのウェストミンスター宮殿の北端に立つ時計塔である。本来「ビッグ・ベン」とは、塔内に吊られた大鐘の愛称であったが、いつしか塔そのものを指す名として、広く親しまれてきた。高さ96メートル、ゴシック・リヴァイヴァル建築の傑作であり、英国そのものを象徴する姿として、世界に知られている。
歴史
1834年、火災によって旧ウェストミンスター宮殿の大半が焼失する。その再建をめぐる設計競技を制したのが、建築家チャールズ・バリーであった。バリーはゴシックの様式を宮殿に与えるにあたり、装飾を得意とするオーガスタス・ピュージンの力を借りる。時計塔の意匠は、このピュージンの手になり、彼の晩年の仕事の一つとなった。
塔の建設は1843年に始まる。塔は1859年に完成し、同年、大鐘が初めて時を告げた。エドマンド・ベケット・デニソンの設計による時計は、当時、世界で最も正確な公共時計の一つとして名高かった。塔は長く「時計塔」と呼ばれてきたが、2012年、エリザベス2世の即位60年を記念して「エリザベス・タワー」と改称された。
建築的特徴
塔は、垂直線を強調するイギリス独特のゴシック様式——垂直式(パーペンディキュラー)——にもとづく。石の彫刻が全体を覆い、四面の文字盤はそれぞれ直径およそ7メートルにおよぶ。塔の各所には、イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドを表す紋章がちりばめられ、ヴィクトリア女王をたたえるラテン語の銘が刻まれている。15分ごとに鳴る「ウェストミンスターの鐘」の旋律は、世界じゅうの時計に模倣されてきた。
意義・現在
ビッグ・ベンは、英国と、その議会制民主主義の、最も親しまれた象徴である。その鐘の音は、1923年以来BBCによって放送され、「英国の音」となった。2017年から2022年にかけては、創建以来最も大規模な保存修理が行われ、文字盤は創建時の青へと戻された。ウェストミンスター宮殿の一部として、世界遺産にも登録されている。