EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
ウェストミンスター宮殿
© Terry Ott / CC BY 2.0
FIG. 01 — Q62408
様式 · 垂直式ゴシック 時代 · 新古典・歴史主義 類型 · 公共・官庁 ★ ユネスコ世界遺産「ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院、聖マーガレット教会」(1987年登録)の構成資産

ウェストミンスター宮殿 Palace of Westminster

Palace of Westminster

テムズ河畔に建つ英国国会議事堂。1834年の火災で焼失した旧宮殿に代わり、チャールズ・バリーとオーガスタス・ピュージンの設計で1840年から建てられたゴシック・リヴァイヴァルの大建築で、中世のウェストミンスター・ホールを取り込む。時計塔ビッグ・ベンで知られる。

FIG. 02 — Location51.4994° N 0.1242° W
イギリス シティ・オブ・ウェストミンスター ロンドン
§1 — 概要

概要

ウェストミンスター宮殿は、ロンドンのテムズ河畔に建つ、イギリス議会(庶民院・貴族院)の議事堂である。「国会議事堂(Houses of Parliament)」とも呼ばれる。11世紀以来この地にあった王宮を起源とし、現在の壮麗な建物は、19世紀のゴシック・リヴァイヴァルを代表する大建築である。時計塔エリザベス・タワー(鐘のビッグ・ベンで知られる)をはじめとする塔をもち、英国の議会政治の象徴として世界に知られる。

歴史

この地は中世以来の王宮であり、議会も13世紀からここで開かれてきた。1834年10月16日、財務府の割り符を焼却していた炉から出火し、宮殿の大半が焼失する。難を逃れたのは、11世紀に起源をもつウェストミンスター・ホールやジュエル・タワーなど、わずかであった。

再建にあたっては、同じ場所にゴシックまたはエリザベス朝様式で建てるべきとされ、1836年、公募の末にチャールズ・バリーの案が選ばれた。古典様式を得意としたバリーは、ゴシックの権威オーガスタス・ピュージンの協力を得て設計を進めた。1840年に礎石が据えられ、貴族院は1847年、庶民院は1852年に完成する。ピュージンとバリーは相次いで世を去ったが、工事はその後も続き、約30年を経て1870年頃に全体が完成した。火災を生き延びた中世のウェストミンスター・ホールは、新しい宮殿のなかに組み込まれた。

建築的特徴

ウェストミンスター宮殿は、左右対称の整然とした平面に、垂直式(パーペンディキュラー)ゴシックの細部をまとわせた建物である。古典の素養をもつバリーが骨格と構成を、ゴシックに通じたピュージンがトレーサリーや尖塔、内装の装飾を担った。ピュージンはこの折衷を「古典の体にチューダーの衣装」と評したと伝えられる。一方、火災を生き延びたウェストミンスター・ホール(1097年創建)は、1393年にリチャード2世のために架けられたハンマービームの木造屋根をいまに伝える。支柱のない一室空間を覆うこの屋根は、中世イングランドの木造建築の到達点とされる。

意義・現在

ウェストミンスター宮殿は、千年近くにわたる英国の政治の舞台であり、「ウェストミンスター」の名は今日では議会や政府そのものを指す代名詞となっている。テムズ越しに見る尖塔の連なりは、ロンドンを象徴する風景である。1970年に第一級指定建造物となり、1987年にはウェストミンスター寺院・聖マーガレット教会とともにユネスコ世界遺産に登録された。建物の老朽化が進んでおり、大規模な修復・更新計画が進められている。

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LAST EDIT — 2026.06.21
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