垂直式ゴシック
年代
1330 — 1530
垂直式ゴシック(Perpendicular Gothic)は、14世紀後半から16世紀にかけてイングランドで展開した、ゴシック建築の最後の段階である。百年戦争や黒死病をへた時代に生まれ、その名のとおり、垂直の線を強調する点に特徴がある。窓やパネルの装飾は、縦の直線が格子状に整然と分割され、壁面いっぱいに大きな窓がひらかれて、内部は明るい光に満たされた。天井には、扇を広げたような優美な扇形ヴォールトがあらわれ、この様式を代表する意匠となった。
フランスに発したゴシックが、イングランドにおいて独自の展開をとげた末の、洗練のかたちといえる。先立つ装飾式ゴシックの曲線ゆたかな装飾に対し、垂直式は、直線的で簡潔、かつ荘厳な秩序をめざした。ケンブリッジのキングズ・カレッジ礼拝堂や、ウィンザーの聖ジョージ礼拝堂、ウェストミンスター・アビーのヘンリー7世礼拝堂などが、その傑作として知られる。イングランドのゴシックを締めくくり、やがてルネサンスの古典様式へと道をゆずる、最後の輝きであった。