イングランド、バークシャーに立つ王城。1070年ごろウィリアム征服王が築き、現に人の住む城としては世界最古・最大とされる。九百年以上にわたり歴代の王が住み継ぎ、増改築を重ねてきた。今もイギリス王室の公邸の一つである。
§1 — 概要概要
ウィンザー城(Windsor Castle)は、イングランド・バークシャー州のウィンザーに立つ王城である。1070年ごろ、ウィリアム征服王によって築かれた。現に人の住む城としては世界最古にして最大とされ、九百年以上にわたり、歴代の王によって住み継がれてきた。今日もなお、イギリス王室の公邸の一つである。
歴史
城は当初、ロンドンの西の守りとして、木と土による砦——モット・アンド・ベイリー——として築かれた。やがて12世紀、ヘンリー2世が木の壁を石へと改め、円塔(ラウンド・タワー)を立てて、要塞を宮殿へと近づけていく。15世紀には、エドワード4世が聖ジョージ礼拝堂の造営を始めた。
王たちは、それぞれの時代の趣味を、城に刻んでいった。17世紀、チャールズ2世は、建築家ヒュー・メイのもとで、ヴェルサイユに比すべきバロックの居室をしつらえた。そして19世紀、ジョージ4世は建築家ジェフリー・ワイアットヴィルを起用し、城の外観を一新する。ラウンド・タワーは高く積みあげられ、塔と銃眼胸壁が加えられて、城は「中世が思い描いたよりも中世らしい」劇的な姿をまとった。1992年には大火に見舞われ、五年をかけて修復された。
建築的特徴
現在のウィンザー城の輪郭は、その多くがワイアットヴィルの手になる、19世紀の創造である。丘の上にそびえるラウンド・タワーを中心に、塔と胸壁が連なるその姿は、ピクチャレスクの美学にもとづいて、遠望に映えるよう構想された。一方、下の郭に立つ聖ジョージ礼拝堂は、扇形のヴォールト天井をもつ、垂直式ゴシックの傑作である。ガーター勲位の礼拝堂であり、歴代の王の眠る場でもある。
意義・現在
ウィンザー城は、一つの様式に収まらない、増改築の積層そのものである。ノルマンの砦に始まり、ゴシックの宮殿、バロックの居室、そして19世紀のゴシック・リヴァイヴァルの装いへと、九百年の歴史が層をなして重なっている。歴代の王の居城でありつづけ、今もなお、生きた歴史の場として、人を迎えている。