聖バルトロメウス大聖堂 Frankfurt Cathedral
ドイツ・フランクフルトの旧市街に建つゴシックの大聖堂。神聖ローマ皇帝の選挙と戴冠の場として「皇帝大聖堂(カイザードーム)」と呼ばれ、95メートルの西塔で知られる。司教座を持たないが、帝国史を象徴する建築である。
§1 — 概要概要
聖バルトロメウス大聖堂(Kaiserdom St. Bartholomäus)は、ドイツ・フランクフルト・アム・マインの旧市街中心に建つカトリックのゴシック教会である。市内最大の宗教建築で、神聖ローマ皇帝の選挙・戴冠の場であったことから「皇帝大聖堂(カイザードーム)」または単に「ドーム」と呼ばれる。名称に反して司教座が置かれたことはなく、正確には大聖堂ではないが、帝国の歴史を象徴する建築としてその通称が定着している。
歴史
この場所には7世紀のメロヴィング朝の礼拝堂以来、複数の聖堂が重なってきた。使徒バルトロマイに捧げられた後期ロマネスクの内陣が1239年に聖別され、現存するゴシックの身廊と側廊は1250年代以降に建てられた。マダーン・ゲルトナーが設計した西塔は1415年に着工したが、1514年に約72.5メートルで工事が止まり、頂部の尖塔は未完のまま残された。1356年の金印勅書により、当聖堂は神聖ローマ皇帝(ローマ王)の選挙の場と定められ、1562年から1792年まで歴代10人の皇帝がここで戴冠した。1867年の大火で被災したのち、フランツ・ヨーゼフ・デンツィンガーによるネオ・ゴシックの修復が行われ、このとき塔はゲルトナーの1415年の設計図に従い、ようやく尖塔を戴いて95メートルで完成した。第二次世界大戦の空襲では内部が焼け、1948年から再建された。
建築的特徴
身廊と側廊の高さがそろうハレンキルヒェ(ホール教会)の形式をとり、内部は仕切りの少ない広い空間として感じられる。天井はリブ・ヴォールトで架けられ、尖頭アーチの連なりが垂直の上昇感を生む。短い身廊を補うように、翼廊は通例より長くとられている。1315年から1349年にかけて築かれた内陣は、火災と戦災をまぬがれた中世の遺構として最もよく原形をとどめる。皇帝選挙が行われた選帝侯礼拝堂(ヴァールカペレ)は1425年に造られ、祭壇下には聖バルトロマイの聖遺物が納められている。赤い砂岩で組まれた西塔は、八角形の上層を四角い基部に重ね、街並みのなかに際立つ輪郭を見せる。
意義・現在
当聖堂は、皇帝の戴冠の舞台として帝国史と分かちがたく結びつき、とりわけ19世紀には国民的統一の象徴として仰がれた。中世に未完だった尖塔が、設計から四世紀半を経て当初の構想どおり実現した経緯は、歴史主義の時代が中世建築をどう受け止めたかを物語る。今日も街の象徴として親しまれ、66メートルの高さにある展望台へは塔内の螺旋階段で上ることができる。