パリのシャン・ド・マルスに2021年に建てられた仮設の展示施設。グラン・パレの改修期間中の代替施設で、ジャン=ミシェル・ヴィルモットが設計した。集成材のアーチ構造をもち、2024年パリ五輪の柔道・レスリング会場を務めたのち解体された。
§1 — 概要概要
グラン・パレ・エフェメール(フランス語: Grand Palais éphémère、「仮設のグラン・パレ」の意)は、パリ7区のシャン・ド・マルス公園に2021年に建てられた仮設の展示施設である。エッフェル塔とエコール・ミリテール(陸軍士官学校)の間、ジョフル広場に置かれた。歴史的なグラン・パレの大規模改修にともない、その催事を引き受ける代替施設として、建築家ジャン=ミシェル・ヴィルモットが設計した。
歴史
グラン・パレが2020年に改修のため閉館するのに合わせ、シャン・ド・マルスに代替施設の建設が進められ、2021年6月に開館した。設計から竣工までわずか9か月、木の架構の組み立ては3か月という短工期で実現している。アートフェアやシャネルなどのファッションショーの舞台となり、2024年のパリ五輪・パラリンピックでは柔道・レスリングなどの会場「シャン・ド・マルス・アリーナ」を務めた。当初の予定どおり、改修されたグラン・パレの再開に合わせて2025年に解体・撤去され、シャン・ド・マルスはもとの姿に戻された。
建築的特徴
建物は、欧州産トウヒの集成材によるプレファブのアーチ約44本を組み合わせた、軽量で組立・解体の容易な木造の架構である。長さ150メートルと130メートルの二つの身廊が交差し、その交点は二本の65メートルのアーチで架けられる。高さは20メートルに抑えられ、背後のエコール・ミリテールの眺めを損なわないよう配慮された。上部は不透明、側面は透明の膜で覆われ、いずれも再利用・再資源化が可能な素材が用いられた。シャン・ド・マルスの樹木を一本も伐らず、根を傷めないために基礎を深く掘らない工夫もなされている。
意義・現在
グラン・パレ・エフェメールは、再生可能な木材を用い、解体後の部材の再利用までを前提に設計された、循環型・低炭素の現代建築として注目された。曲面の架構はグラン・パレの円筒形の天井やエッフェル塔の格子アーチを想起させ、仮設でありながら周囲の記念碑的な建築に呼応するものであった。2025年に役割を終えて解体されたが、その部材は別の場所で再び組み立てて用いることが企図されている。
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