ロシアの飛び地カリーニングラード州の州都、プレゴリャ川の中州オクチャブリスキー島に立つサッカースタジアム。2018年FIFAワールドカップのために建設された約3万5,000席の2層式スタジアムで、2023年から命名権によりロステック・アリーナと称する。
§1 — 概要概要
カリーニングラード・スタジアム(Kaliningrad Stadium)は、ポーランドとリトアニアに挟まれたロシアの飛び地、カリーニングラード州の州都カリーニングラードに立つサッカースタジアムである。市の中心を流れるプレゴリャ川の中州、オクチャブリスキー島に位置する。2018年FIFAワールドカップの会場として建設され、大会では最も西に位置する開催地となった。収容は約3万5,000人で、大会後は地元のFCバルチカ・カリーニングラードの本拠地として使われている。2023年8月、国営コングロマリットのロステックがクラブのスポンサーとなったことにともない、ロステック・アリーナ(Ростех Арена)に改称された。
歴史
スタジアムの計画は曲折をたどった。2012年、州政府は国際的な設計競技を経て、フランスのヴィルモット・エ・アソシエの案を採用した。4万5,000席で出発し、大会後に上段席を撤去して屋根ごと高さを下げ、2万5,000席に縮小できるという構想であった。翌2013年にはロシアの建設会社モストヴィクが実施設計に入ったが、同社は2014年に破産宣告を受け、計画は停滞する。
同じ2014年、ロシア政府はモスクワの開発企業クロクス・グループの傘下企業を建設の単独の請負者に指定し、設計と施工を一括して委ねた。ルーブルの急落と工期の遅れを受けて、FIFAは最低収容人員を4万5,000人から3万5,000人に引き下げることを認め、スタジアムは規模と構成の両面で大きく簡素化された。建設地のオクチャブリスキー島はもとは湿地で、大量の砂を投入して地盤を締め固めたうえ、無数の杭を打ち込んで基礎とした。最初の杭は2015年9月に打たれ、2018年3月に使用許可を得て、4月11日にFCバルチカの公式戦で開場した。大会ではグループリーグの4試合が行われている。2019年には所有権が連邦から州に移された。
建築的特徴
完成したスタジアムは、ピッチを2層のスタンドで囲む簡潔な構成をとる。延床面積は約11万2,500平方メートルと、2018年大会のために新設されたスタジアムのなかでも小さい部類に属する。工期の短縮と費用の抑制のため、プレキャスト部材を多用する方針がとられた。角張った外形は、穴あき加工を施した白と青のアルミパネルで覆われ、配色はFCバルチカのクラブカラーに合わせられている。屋根は客席を覆い、ピッチの上は開いている。
2012〜2013年の案に描かれた、琥珀を思わせる不規則な外皮や、大会後に縮小できる可変のスタンドと屋根は、実施段階ですべて姿を消した。完成した建物は、設計競技の案というよりも、施工者による合理化の産物といえる。
意義・現在
カリーニングラード・スタジアムは、経済情勢の悪化のなかで、野心的な設計案が短期間で実現可能な形へと切り詰められていった、2018年ワールドカップのスタジアム整備の一面をよく示している。大会後に2万5,000席へ縮小する計画は見送られ、FCバルチカの試合のほか、ロシア代表の試合やラグビーの国際試合にも使われている。スタジアムの西方、徒歩圏には旧ケーニヒスベルクの大聖堂が立つ旧クナイプホーフ島(現カント島)があり、湿地のまま残されていた中州に市の新しい拠点を築く試みでもあった。
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