ストックホルム近郊のハーガ公園に立つ宮殿。国王グスタフ4世アドルフの命でイェルヴェルが王子女のために1802年から1805年に建てた、イタリア風ヴィラを範とする新古典主義の館である。
§1 — 概要概要
ハーガ宮殿(Haga slott)は、スウェーデンの首都ストックホルムに接するソルナのハーガ公園内に立つ宮殿である。かつては「王妃の館」とも呼ばれた。国王グスタフ4世アドルフが王子女の住まいとして建てさせたもので、イタリアのヴィラを範とする均整のとれた新古典主義建築である。設計は建築家カール・クリストッフェル・イェルヴェル(子)による。
歴史
先代の国王グスタフ3世は、ブルンスヴィーケン湖畔に壮大な離宮を計画していたが、1792年に暗殺されて工事は中断した。その子グスタフ4世アドルフは、より慎ましい館をあらためて建てることとし、比較的若い建築家イェルヴェルを起用した。イェルヴェルは1788年からハーガの造営に携わり、ドロットニングホルムに自ら設計したバレエ教師ガロディエのヴィラを手本にこの宮殿を構想した。1802年5月に基礎が据えられ、同年末には屋根が架かり、内装は1805年末に完成した。以後は王族の夏の館として使われ、1966年に政府の迎賓館へと転じた。
建築的特徴
宮殿は、簡素で明快な新古典主義の語法にもとづく。左右対称の穏やかな外観に、古典に由来するオーダーやポルティコが抑制的に用いられ、華美な装飾を排した端正な佇まいをみせる。内部には由緒ある大理石の円柱が立つ。これらの柱はもともとフィンランド産で、かつてカールスクルーナのドイツ教会に据えられていた古材を再利用したものである。床にはフレドリクスホフ宮殿から運ばれた樫材が張られ、王室の館にふさわしい質を備えている。
意義・現在
ハーガ宮殿は、グスタフ朝スウェーデンの洗練された新古典主義を伝える建築である。現国王カール16世グスタフの生誕の地としても知られ、長く王室と結びついてきた。2009年、政府は宮殿の使用権を王室に戻すことを発表し、2010年に結婚したヴィクトリア皇太子とダニエル王子の夫妻の住まいとなった。以後は皇太子一家の私邸として用いられ、現在も一般には公開されていない。