ベルリン中心部に建つ現代美術館。1846年から47年にかけて後期古典主義様式の鉄道ターミナル駅舎として築かれ、20世紀末にJ・P・クライフエスの改修を経て現代美術のための国立美術館として再生した稀有な建築である。
§1 — 概要概要
ハンブルク駅現代美術館(Hamburger Bahnhof)は、ドイツの首都ベルリンの中心部、ミッテ区に位置する現代美術館である。その名が示すとおり、建物はもともとベルリンとハンブルクを結ぶ鉄道の頭端式ターミナル駅として建設された。現役の鉄道駅としての役目を終えたのち、長い空白期間と数度の用途転換を経て、20世紀末に現代美術を展示する国立美術館(Nationalgalerie der Gegenwart)として生まれ変わった。19世紀半ばの鉄道建築の骨格を保ちながら、現代美術の器として機能する点に、この建築の特異な価値がある。
歴史
駅舎は1846年から1847年にかけて、ベルリン=ハンブルク鉄道の終着駅として、フリードリヒ・ノイハウスとフェルディナント・ヴィルヘルム・ホルツの設計により建てられた。後期古典主義の端正な様式をまとったこの駅舎は、ベルリンに現存する最古級の鉄道建築のひとつである。しかし鉄道網の再編にともない、1884年には旅客営業を終了し、駅としての役割を失った。20世紀初頭には建物は交通・建設関係の博物館として転用され、第二次世界大戦で被害を受けたのち長らく十分に活用されないままであった。転機となったのは1990年前後で、建築家ヨゼフ・パウル・クライフエスの改修設計により、1996年に現代美術館として開館した。歴史的な駅舎の躯体に、展示に適した新たな空間が慎重に挿入された。
建築的特徴
原駅舎は左右対称の正面構成をもち、中央棟の両脇に塔状の構造を備える後期古典主義の意匠で整えられている。鉄道ターミナルらしい大きな内部空間は、改修にあたって現代美術の展示にふさわしい白く明るいギャラリーへと再構成された。クライフエスは歴史的な外観を尊重しつつ、内部に簡潔で抑制された現代的な空間を与え、旧構造と新たな挿入とが対話するような構成をつくり出した。広い天井高と自然光を活かした展示室は、大型のインスタレーションや現代美術作品を受け止めるのに適している。
意義・現在
ハンブルク駅現代美術館は、ベルリン国立美術館群(Staatliche Museen zu Berlin)に属し、現代美術を扱う中心的な施設として知られる。19世紀の鉄道建築を21世紀の美術館として活用したこの建物は、産業遺産の保存と現代的な用途転換を両立させた事例として評価されている。歴史的な駅舎が都市の記憶を伝えながら、同時に新しい芸術表現の舞台となっている点で、ベルリンの文化的景観において独自の位置を占めている。