ヘルシンキに建つ北欧機能主義を代表する競技場。1938年に完成し、1952年夏季オリンピックの主会場となった。約72メートルの白い塔で知られる。
§1 — 概要概要
ヘルシンキ・オリンピックスタジアム(Helsinki Olympic Stadium)は、フィンランドの首都ヘルシンキに建つ国立競技場である。北欧機能主義を代表する建築のひとつで、約72メートルの白い塔がランドマークとなっている。1952年夏季オリンピックの主会場として知られる。
歴史
建築家ユルヨ・リンデグレンとトイヴォ・ヤンッティの設計により、1934年に着工され、1938年に竣工、同年6月12日に開場した。当初は1940年に予定されていたヘルシンキ・オリンピックの会場となるはずであったが、この大会は第二次世界大戦のため中止となった。戦後、ヘルシンキは1952年の夏季オリンピックを招致し、スタジアムはようやく本来の目的を果たすことになった。設計者のひとりリンデグレンは、この設計により1948年ロンドン・オリンピックの芸術競技(建築部門)で金メダルを受けている。2016年から2020年にかけては大規模な改修が行われ、観客席に屋根が架けられた。
建築的特徴
最も目を引くのは、高さ72.71メートルの白い塔である。この高さは、フィンランドの選手が打ち立てたやり投げの世界記録に由来するといわれる。建物全体は鉄筋コンクリート造で、白い壁面と水平線を強調した簡潔な造形は、1930年代の北欧機能主義をよく体現している。不要な装飾を排し、機能から導かれた明快な形態を旨とする設計で、観客席は直線と曲線を組み合わせた合理的なディテールでまとめられている。
意義・現在
ヘルシンキ・オリンピックスタジアムは、北欧機能主義の到達点であると同時に、戦争による苦難を経て祝祭を取り戻したフィンランドの歩みを象徴する建築でもある。1952年のオリンピックは、戦後の小国が国際社会に開かれた重要な契機となった。現在もサッカーや陸上競技、大規模なコンサートの会場として用いられ、フィンランド代表の本拠地として首都の活気ある中心であり続けている。