フェイエノールト・スタディオン De Kuip
ロッテルダム南部に建つサッカー専用競技場。1937年竣工。観客の視界を遮らない二層の片持ち式スタンドを実現し、ヨーロッパの近代スタジアム建築の先駆けとなった。
§1 — 概要概要
フェイエノールト・スタディオン(Stadion Feijenoord)は、オランダのロッテルダム南部、エイセルモンデ地区に建つサッカー専用競技場である。桶を思わせる外観から「デ・カイプ(De Kuip、桶の意)」の愛称で広く親しまれ、地元クラブのフェイエノールトが本拠地とする。1937年の竣工以来、ヨーロッパ近代のスタジアム建築を代表する一作として知られる。
歴史
建設を発案したのは、1930年代にクラブ会長を務めたレーン・ファン・ザントフリートである。彼は観客がどこからでも妨げなく試合を見られる競技場を構想し、ロンドンのハイバリーやニューヨークの球場を視察して着想を固めた。設計は、ロッテルダムのファン・ネレ工場で知られる建築家ヨハネス・ブリンクマンとレーンデルト・ファン・デル・フルフトに託された。1935年に着工し、躯体は翌1936年に完成、1937年に開場した。ファン・デル・フルフトは竣工を待たず36年に没している。1994年には全席着席化と屋根の拡張を含む大規模な改修が行われ、現在の姿となった。
建築的特徴
最大の特色は、支柱で視界を遮らない二層式の観客席にある。上段スタンドをカンチレバーで張り出させることで、下段からの視界を確保した。当時としては先進的なこの構造は、鉄骨・コンクリート・ガラスという安価で合理的な材料によって実現され、機能主義の精神を体現している。すり鉢状に客席が一体化した内部は、観客と競技場との強い一体感を生み出した。
意義・現在
デ・カイプは、欧州における二層片持ちスタンドの初期の達成として、後のスタジアム設計に大きな影響を与えた。第二次大戦中には鉄材供出のため解体が検討されたが免れ、1991年にロッテルダム市の記念物に指定された。現在も改修を重ねながら使われ続け、フェイエノールトのホームスタジアムとして、またEURO 2000決勝の舞台として、その歴史を刻んでいる。