ハンガリー国会議事堂 Hungarian Parliament Building
ブダペスト、ドナウ河岸に立つハンガリーの国会議事堂。イムレ・シュテインドルの設計で1885年に着工し1904年に完成した、ウェストミンスター宮殿に範をとるネオゴシックの大建築。高さ96mのドームは建国とされる896年にちなむ。
§1 — 概要概要
ハンガリー国会議事堂(Országház、「国の家」の意)は、ブダペストのドナウ川左岸、コシュート広場に面して立つハンガリー国民議会の議事堂である。全長およそ268m、691の部屋を擁する国内最大級の建造物で、ネオゴシック(ゴシック・リヴァイヴァル)を基調にルネサンスやバロックの要素を併せもつ。ドナウ河岸の景観を構成する一要素として、ユネスコ世界遺産「ブダペスト:ドナウ河岸、ブダ城地区およびアンドラーシ通り」の区域に含まれる。
歴史
1867年のオーストリア=ハンガリー二重帝国の成立と、ブダ・オーブダ・ペシュト三市の統合(1873年)を背景に、国家の主権を象徴する議事堂の建設が決議された。国際設計競技を制したのはハンガリーの建築家イムレ・シュテインドルで、ロンドンのウェストミンスター宮殿を思わせるネオゴシック案が、西欧とりわけ英国への帰属意識を重んじる当時の政治指導層に支持されたとされる。1885年に着工し、建国千年祭にあたる1896年に未完のまま落成式が行われ、1904年に全体が完成した。シュテインドルは工事中に視力を失い、完成を見ることなく1902年に世を去っている。
建築的特徴
左右対称の壮大なファサードには、ハンガリーの君主やトランシルヴァニアの指導者、軍人ら多数の彫像が配される。中央にそびえる高さ96mのドームは、マジャル人の定住とされる896年にちなみ、主階段の段数も96段に揃えるなど、数の象徴性が随所に織り込まれている。内部はミクシャ・ロートのステンドグラスや黄金を用いた華麗な装飾で飾られ、十六角形の中央広間を挟んで上院・下院の議場が向かい合う。建設には4千万個の煉瓦と40kgを超える金が費やされ、鋼材を用いた屋根構造や集中式の冷暖房など、当時最先端の技術も導入された。
意義・現在
国会議事堂は、独立への希求が高まった世紀転換期ハンガリーの国家意識を体現する記念碑である。両大戦や1956年の動乱を経てなお国民議会の議場として機能し続け、2000年からは中央のドーム広間に聖イシュトヴァーンの王冠(聖冠)が安置されている。ブダペストを代表する景観として年間多数の見学者を集め、ドナウ河岸の象徴的存在であり続けている。