ドイツ・ハンブルクの外アルスター湖畔に建つシーア派モスク。「青のモスク」とも呼ばれ、1960年から1965年にかけて建設された同市最古のモスクで、ハンブルク・イスラム・センター(IZH)が運営してきた。
§1 — 概要概要
イマーム・アリー・モスク(Imam-Ali-Moschee)は、ドイツ・ハンブルクの外アルスター湖(アウセンアルスター)に面して建つシーア派のモスクである。青いタイルに覆われたドームから「青のモスク(Blaue Moschee)」の通称で親しまれ、ハンブルク最古のモスクとして知られる。建設と運営を担ったのはハンブルク・イスラム・センター(Islamisches Zentrum Hamburg/IZH)で、長くドイツにおけるシーア派の中心的拠点であった。
歴史
1953年、ハンブルクに在住するイランの商人たちが、礼拝の場を求めてモスク建設のための協会を設立した。1957年に外アルスター湖畔ウーレンホルスト地区の敷地を取得し、設計競技を経て、地元の建築家ゴットフリート・シュラムとユルゲン・エリンギウスらの案が採用された。1960年2月に礎石が据えられ、1963年に躯体が、1965年に主要部が完成した。資金はイランの商人や聖職者からの寄進に支えられ、その後も内装や付属施設の整備が段階的に続けられた。
建築的特徴
平面はイランの伝統に倣うイーワーン型を基本とし、中央のドームと二基のミナレットを備える。外観は東方の様式と近代ドイツの建築技術を結びつけることを意図しており、青を基調とするタイル装飾がその性格を端的に示す。礼拝室は全面を用いれば最大千五百人を収容し、内部はマシュハドの工人によるモザイクで荘厳された。庭園と噴水を含む外構の造園は、造園家グスタフ・リュトゲが手がけた。
意義・現在
イマーム・アリー・モスクは、戦後ドイツにおける最初期の本格的なモスクの一つであり、ハンブルクの文化財にも指定されている。一方、運営母体のIZHはイラン政府との関係が問われ、2024年7月にドイツ連邦内務省により団体としての活動が禁止され、モスクを含む財産が押収された。IZHはこの決定を行政裁判所で争っており、建物の今後の用途は司法判断を待つ状況にある。建築としてのモスクは、外アルスター湖畔の景観に独特の存在感を与え続けている。