イヴァン・ヴァゾフ国立劇場 Ivan Vazov National Theatre
ブルガリアの首都ソフィアに建つ、同国でもっとも古く格式の高い国立劇場。1907年に開場した。ウィーンの劇場建築家フェルナーとヘルマーによる新古典主義の建物で、正面は六本のコリント式円柱と、アポロンとミューズを刻んだ破風で飾られる。市の庭園に面し、ソフィアを代表する一棟である。
§1 — 概要概要
ブルガリアの首都ソフィアの中心部に建つ、同国でもっとも古く、もっとも格式の高い国立劇場である。市の庭園に正面を向けて建つ。1907年に開場し、ウィーンの劇場建築家フェルディナント・フェルナーとヘルマン・ヘルマーの設計による、新古典主義の堂々たる建物である。劇場の名は、ブルガリアの国民的作家イヴァン・ヴァゾフにちなむ。
歴史
劇団そのものは、1904年に生まれた。教育大臣イヴァン・シシュマノフが、民間の「涙と笑い」一座を、国立の劇団へと改めたのである。同じ年、旧来の木造劇場の跡地で、新しい劇場の建設が始まった。建物は1906年に竣工し、翌1907年1月3日に開場した。
その後、劇場は幾度かの苦難に見舞われる。1923年、上演中に起きた火災が、舞台と客席をひどく焼いた。ドイツの建築家マルティン・デュルファーの手で1924年から再建され、1929年に再び開場した。第二次世界大戦の空襲でも傷を負ったが、1945年に復旧された。劇場の名は、1962年に作家イヴァン・ヴァゾフのものとなった。
建築的特徴
正面の中央には、六本のコリント式の円柱が並び、その上に三角形の破風を戴く。破風には、芸術の神アポロンと、それを囲むミューズたちが浮き彫りにされている。古代ギリシア・ローマの神殿を思わせる、均整のとれた構えである。八百を超える客席をもつ内部の天井と壁は、ウィーンの画家ルドルフ・フックスが彩った。フェルナーとヘルマーは、中央ヨーロッパ各地に数多くの劇場を手がけた名手であり、本作にもその円熟がうかがえる。
意義・現在
イヴァン・ヴァゾフ国立劇場は、独立後まもないブルガリアが、自国の演劇と文化を育てる場として築いた殿堂である。火災や戦災を乗り越えてなお、建設当初の姿を保ちつづけている。その正面は、ブルガリアの五十レヴァ紙幣にも描かれ、国の文化の象徴となっている。
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