イタリア・トリノにあるユヴェントスFCの本拠地。設計はジーノ・ザヴァネッラとエルナンド・スアレス、屋根の構造はマッシモ・マジョヴィエツキが担い、2011年に開場した。陸上トラックを廃してピッチに観客席を近接させた、イタリア初のクラブ所有による近代的なサッカー専用競技場である。
§1 — 概要概要
ユヴェントス・スタジアム(2017年以降は命名権により「アリアンツ・スタジアム」)は、イタリア北部トリノに建つサッカー専用競技場で、セリエAの名門ユヴェントスFCの本拠地である。設計はジーノ・ザヴァネッラ(GAU)とエルナンド・スアレス(Shesa)が主導し、軽量の屋根構造を構造技術者マッシモ・マジョヴィエツキが担当した。2011年9月8日に開場し、収容人員は約4万1千人。クラブが自ら所有・運営するイタリア初の近代的競技場として、国内のスタジアム文化に転機をもたらした。
歴史
ユヴェントスは長らく、陸上トラックを備え観客席がピッチから遠い「スタディオ・デッレ・アルピ」を使っていたが、観客動員の低迷からこれを問題視し、2002年に市から取得した。2008年に新競技場の計画が承認され、旧スタジアムの解体を経て、2009年7月に本体工事が始まった。総工費はおよそ1億5千万ユーロで、そのすべてをクラブの自己資金でまかなった。2011年8月に竣工し、同年9月、ノッツ・カウンティとの親善試合で開場した。対戦相手は、ユヴェントスの白黒の縞模様の由来となった英国のクラブである。
建築的特徴
最大の主題は「観客をピッチに近づける」ことであり、陸上トラックを排し、最前列をピッチからわずか7.5メートルに置いた急勾配のスタンドが、密度の高い観戦空間を生む。屋根は風洞実験を経て設計され、飛行機の翼の断面を思わせる軽量の膜構造で、二本の高さ90メートル超のマストから張られたケーブルによって四隅から吊られている。部分的に透明・不透明の膜を使い分けることで、ピッチへの採光と芝の生育を両立させた。外装の意匠にはジョルジェット・ジウジアーロが、内部の家具・座席にはピニンファリーナが関わるなど、トリノの工業デザインの伝統が随所に生かされている。
意義・現在
ユヴェントス・スタジアムは、自治体が所有する多目的競技場が主流だったイタリアにあって、クラブ所有・サッカー専用・商業施設併設という新しい運営モデルを示した先駆けである。隣接する博物館やショッピング街と一体の都市再開発の核として構想され、その成功は後続のスタジアム計画の手本となった。建築としては、装飾を排し、構造と膜屋根の軽さをそのまま表現に転じた点に、現代スポーツ建築の一つの典型を見ることができる。
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