FIG. 01 — Q133566
イタリア・ミラノに建つサッカー専用スタジアム。通称「サン・シーロ」。1926年開場で、ACミランとインテルが本拠を分け合う。1990年の改修で加わった11本の円筒形の塔と赤い屋根の梁が特徴的な、ヨーロッパ屈指のフットボールの殿堂である。
§1 — 概要概要
ジュゼッペ・メアッツァ・スタジアムは、イタリア・ミラノに建つサッカー専用スタジアムである。所在地の名から「サン・シーロ」の通称で広く知られ、ACミランとインテルという二つの名門クラブが本拠を分け合う、世界でも珍しい競技場である。1926年の開場で、外周にそびえる円筒形の塔と赤い屋根の梁が特徴的な、ヨーロッパ屈指のフットボールの殿堂として知られる。
歴史
ACミランの会長ピエロ・ピレッリの主導で、1925年に建設が始まり、建築家ウリッセ・スタッキーニと技師アルベルト・クジーニの設計により、1926年9月に開場した。陸上トラックをもたないサッカー専用の競技場として造られた点が、当時のイタリアでは異例であった。1947年からはインテルも本拠とし、1955年には二層目のスタンドが加えられて収容人数を大きく増やした。1980年、二つのクラブで活躍した名選手の名を冠して「ジュゼッペ・メアッツァ・スタジアム」と改称される。そして1990年のワールドカップに向けて、建築家ジャンカルロ・ラガッツィとエンリコ・ホッファーらによる大改修が行われ、現在の姿が形づくられた。
建築的特徴
現在のサン・シーロの象徴は、1990年の改修で加えられた、外周に立つ11本の円筒形の鉄筋コンクリートの塔である。塔の内部にはらせんスロープが収められ、観客を一気に最上層の三層目スタンドへと導く。このうち四本の塔は、競技場を覆う巨大な赤い鉄骨の梁を支えており、カンチレバー状に張り出した屋根がスタンドを覆う。三層に積み上がった急傾斜の観客席は、ピッチを取り囲む断崖のような壁をなし、満員の夜には音が反響して独特の重圧をつくり出す。この劇場的な空間から、スタジアムは「フットボールのスカラ座」とも呼ばれる。
意義・現在
サン・シーロは、ミランとインテルの数々の栄光の舞台であり、1934年と1990年のワールドカップ、四度のチャンピオンズリーグ決勝など、サッカー史の大舞台を見守ってきた。2026年には冬季オリンピックの開会式の会場ともなった。一方で老朽化が指摘され、両クラブによる新スタジアム建設と、この歴史的な競技場の扱いをめぐる議論が長く続いている。一世紀近くミラノの街とともにあったこの建物の行方は、いまも見守られている。