スウェーデン南部マルメの城。1530年代にデンマーク王クリスチャン3世が築いた、北欧に現存する最古のルネサンス様式の城郭で、王の居城・造幣所・要塞・監獄と用途を変えながら今日まで残る。
§1 — 概要概要
マルメ城(スウェーデン語: Malmöhus slott、マルメヒュース)は、スウェーデン南部スコーネ地方の都市マルメにある城である。堀に囲まれた島(スロッツホルメン)に建ち、北欧に現存する最古のルネサンス様式の城として知られる。デンマーク統治下に王の居城・造幣所・要塞として築かれ、のちスウェーデン領となってからは防衛拠点、さらには監獄として用いられた。現在はマルメ博物館の一部となっている。
歴史
この地には15世紀初頭から防御施設があった。1429年にエーリク・オブ・ポメラニアがエーレスンド海峡の通行税を導入すると、その徴収と海側の防衛のため、1434年に最初の要塞「ムンテルゴーデン」が築かれ、造幣所も置かれた。この要塞は1534年から36年の伯爵戦争でほぼ破壊される。乱の鎮圧後、デンマーク王クリスチャン3世が1526年から39年にかけて現在の城を新たに築いた。オランダ・イタリア系の要塞建築に倣い、近代的な稜堡と豪奢な居館とを兼ねる構えである。1658年のロスキレ条約でスコーネがスウェーデン領となると要塞はさらに強化されたが、18世紀には軍事的意義を失い、1828年から1909年まで監獄として使われた。1928年に城の修復が始まり、1937年にはマルメ博物館が島へ移って今日に至る。
建築的特徴
平面は方形に近く、四隅に円塔を備える城郭型(カステル)の構成をとる。煉瓦を主体とし、外壁には煉瓦と石を併用する。厚い壁と稜堡は16世紀の火砲戦に対応した要塞建築の所産であり、同時に内部は王侯の居館にふさわしい格式を備えていた。1607年にはデンマークの「建築王」クリスチャン4世が、オランダ・ルネサンス様式の破風をもつ倉庫を加えている。20世紀の修復によって、城は16〜17世紀の姿に近い外観を取り戻した。
意義・現在
マルメ城は、デンマーク王権の北の拠点であった中世末のマルメの繁栄と、その後のスウェーデンへの帰属というスコーネ地方の歴史を体現する建築である。北欧最古のルネサンス城という点で建築史上の価値も高く、スウェーデンの国の文化財(建造物記念物)に指定されている。現在は自然史・美術・地域史の展示を擁するマルメ博物館の中核施設として公開され、南スウェーデン最大級の博物館を構成している。