ミラノの中心に立つ、イタリア最大のゴシック大聖堂。1386年に着工し、完成までおよそ六百年を要した。白い大理石でつくられ、百三十五本もの尖塔が林立する。最高所には黄金のマリア像「マドンニーナ」が立ち、ミラノの象徴として親しまれている。
§1 — 概要概要
ミラノのドゥオーモ(Duomo di Milano、ミラノ大聖堂)は、イタリア・ロンバルディア州のミラノに立つ、イタリア最大のゴシック大聖堂である。1386年に着工し、その完成までには、およそ六百年もの歳月を要した。白い大理石によってつくられ、屋根の上には百三十五本もの尖塔が林立する。最高所に立つ黄金のマリア像「マドンニーナ」とともに、ミラノを象徴する姿として、世界に知られている。
歴史
1386年、ミラノ大公ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティのもとで、パリやケルンの大聖堂に並ぶ聖堂をという志のもと、建設が始まった。最初の主任技師シモーネ・ダ・オルセニーゴは、当初これを煉瓦造のロンバルディア・ゴシックで構想したが、まもなくフランスやドイツから、北方ゴシックに通じた建築家たちが招かれる。
その後、工事はたびたび滞り、様式もまた、時代とともに移ろっていった。十八世紀には主尖塔とマドンニーナが立てられ、1805年、イタリア王として戴冠を控えたナポレオンの命によって、ファサードがようやく整えられる。最後の青銅の扉が据えられ、聖堂が「完成」をみたのは、ようやく1965年のことであった。
建築的特徴
ドゥオーモは、イタリアにおいてゴシックがとった、最も壮麗なかたちである。カンドリアの石切場から運ばれた、ほのかに桃色を帯びた白い大理石が、全体を覆う。林立する百三十五本の尖塔、三千を超える彫像、無数の小尖塔とトレサリーが、面という面を埋めつくし、「石の刺繍」とも称される。内部は、四十五メートルにおよぶ高い穹窿が、五つの身廊にわたって架けられ、荘厳な空間をなす。古典の本場イタリアにあって、これほど徹底したゴシックは、異例のことであった。
意義・現在
ミラノのドゥオーモは、ひとりの建築家の作ではない。六百年のあいだ、ヨーロッパ各地から集った数えきれぬ人々の手が、世代をこえて積み重ねた、巨大な協働の結晶である。中世に始まり、ルネサンス、バロック、近代をへて立ちあげられたこの聖堂は、様式の積層そのものでありながら、ミラノという都市と分かちがたく結びついて、今日もなお、人々を迎えつづけている。