トゥール・モンパルナス Montparnasse Tower
パリ左岸モンパルナス地区に立つ、高さ約210メートルのオフィス超高層。1969年に着工し1973年に完成した、パリ市内で唯一にして最も高い摩天楼である。
§1 — 概要概要
トゥール・モンパルナス(Tour Montparnasse、正式にはトゥール・メーヌ=モンパルナス)は、パリ左岸モンパルナス地区に立つ高さ約210メートル、59階建てのオフィス超高層である。1973年の完成以来、2011年にラ・デファンス地区のトゥール・ファーストに抜かれるまでフランス一の高さを誇り、現在もパリ市内で唯一かつ最も高い超高層建築としてその輪郭を残す。
歴史
計画は1950年代、老朽化した旧モンパルナス駅周辺の再開発構想にさかのぼる。1958年には塔の検討が進むが、パリの歴史的景観を損なうとして文化相アンドレ・マルローらを巻き込む激しい論争を呼んだ。1968年にようやく建設許可が下り、ユルバン・カッサン、ウジェーヌ・ボードゥアン、ルイ・ド・オイム・ド・マリアンの設計陣にジャン・ソボが加わって、1969年から1973年にかけて建設された。完成後は、パリの空に突如現れた一本の巨塔として景観論争の象徴となり、市内の高さ規制が強化される契機ともなった。
建築的特徴
楕円に近い平面をもつ単一の塔体で、濃色のガラスと金属によるカーテンウォールが外観を覆う。中央コアと外周構造によって広い無柱空間を確保し、装飾を排した黒い直方体という姿は、戦後フランスに移植された超高層建築=インターナショナル・スタイルの典型を示す。地下ではパリ・メトロのモンパルナス=ビヤンヴニュ駅と一体化し、56階には市街を一望する展望台が設けられている。
意義・現在
単調で巨大すぎるとの批判は完成直後から絶えず、皮肉まじりに語られることも多い。一方でそれは、20世紀後半のパリが近代化と歴史的景観の保存との間で揺れた記録でもある。2017年には外装の全面改修コンペでヌーヴェルAOM案が選ばれ、商業部分はレンゾ・ピアノが手がける計画が進む。賛否を背負いながら、塔は更新の時代を迎えつつある。
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