ウィリス・タワー Willis Tower
アメリカ・シカゴに建つ超高層ビル。SOM のブルース・グレアムと構造技師ファズラー・カーンが、9本の角形チューブを束ねる革新的な構造で1973年に完成させ、四半世紀にわたり世界一の高さを誇った。旧称シアーズ・タワー。
§1 — 概要概要
アメリカ・シカゴの中心部に建つ超高層オフィスビルである。1973年の完成時に世界一の高さに達し、以後およそ四半世紀にわたってその座を保った。設計事務所 SOM のブルース・グレアムと構造技師ファズラー・カーンによる、9本の角形チューブを束ねた構造は、超高層建築の歴史を画する革新であった。長らくシアーズ・タワーと呼ばれてきたが、2009年に現在の名へと改められた。
歴史
当時世界最大の小売企業であったシアーズ・ローバックが、巨大な本社を求めて計画した。1970年に着工し、1973年に主要部が完成する。ニューヨークの世界貿易センターを抜いて世界一の高さとなり、その記録は1998年にクアラルンプールのペトロナス・ツインタワーに抜かれるまで続いた。
シアーズの命名権は2003年に失効したが、建物はなお長くシアーズ・タワーと呼ばれた。2009年、ロンドンの保険仲介会社ウィリス・グループが一部を賃借して命名権を得、同年7月、名称は正式にウィリス・タワーへと変わった。地元では今もシアーズ・タワーの名で親しまれている。
建築的特徴
高さは屋上まで約442メートル、108階を数える。最大の特徴は「バンドルド・チューブ」と呼ばれる構造形式である。一辺23メートルの角形のチューブ(筒)を9本、3×3の格子状に束ねて基部を構成し、上層へゆくにつれてチューブを段階的に終わらせていく。50階・66階・90階で外側のチューブが順に姿を消し、頂部には2本だけが残る。この逓減が、独特の段状の輪郭を生んだ。
それぞれのチューブが互いを支え合うこの方式は、風の水平力に強く、しかも従来より少ない鋼材で大きな高さを実現した。外装は黒いアルミと黒みを帯びたガラスで覆われ、簡潔で力強い表情をつくっている。103階の展望台「スカイデッキ」には、2009年、壁面から張り出すガラスの箱「ザ・レッジ」が設けられた。
意義・現在
ウィリス・タワーは、構造技術が建築の形そのものを決定づけた好例であり、カーンの確立したチューブ構造は、その後の超高層建築の標準的な発想となった。世界一の高さの座は他に譲って久しいが、シカゴの象徴として、また現代の摩天楼の礎を築いた建築として、その地位はゆらいでいない。