プラハ旧市街、火薬塔の隣に建つアール・ヌーヴォーの市民会館。1905年から1912年にかけてポリーフカとバルシャーネクが設計し、ミュシャらが内部を飾った。スメタナホールを擁する。
§1 — 概要概要
プラハ旧市街、共和国広場に面し、火薬塔に隣接して建つ市民会館(オベツニー・ドゥーム)である。チェコを代表するアール・ヌーヴォー建築であり、コンサートホールとして名高いスメタナホールを中心に、舞踏室やカフェ、レストランを擁する複合文化施設である。プラハ市が市民のための代表的な催事場として建設した。
歴史
この地にはかつてボヘミア王の宮廷が置かれ、14世紀末から15世紀にかけて歴代の王が居住したが、のちに荒廃し、20世紀初頭に取り壊された。現在の建物は1905年に着工し、オスヴァルト・ポリーフカとアントニーン・バルシャーネクの設計によって1912年に開館した。チェコ民族の文化的自負を象徴する建築として迎えられ、1918年にはチェコスロヴァキア独立宣言の舞台ともなって、国民的な記憶を刻む場となっている。
建築的特徴
ファサードは寓意彫刻と漆喰装飾で飾られ、正面入口の上にはカレル・シュピラルによるモザイク画《プラハへの讃歌》が掲げられる。その両脇には、ラディスラフ・シャロウンによる《民衆の屈従》と《民衆の復活》と題された彫刻群が配される。ガラスのドームをいただくスメタナホールをはじめ、内部はアルフォンス・ミュシャ、ヤン・プライスレル、マックス・シュヴァビンスキーら当代一流の画家・彫刻家の仕事で満たされる。とりわけミュシャが一室を丸ごと手がけた市長の間は、その装飾の白眉として知られる。
意義・現在
本建築は、当代一流の画家・彫刻家・工芸家を統括して一個の総合芸術へとまとめ上げた、チェコ・アール・ヌーヴォーの記念碑である。今日もコンサートやイベントの会場として現役で使われ、プラハ市民の文化生活の拠点であり続けている。内部の多くの部屋はガイドツアーで公開され、訪れる人を当時の華やぎへと誘う。チェコ国定文化記念物に指定されている。