ポーランド・グダニスクにある、第二次世界大戦をテーマとした国立博物館。クファドラト建築設計事務所の設計で、傾いた赤いタワーと地下に沈めた展示空間を特徴とする、2017年開館の現代建築である。
§1 — 概要概要
第二次世界大戦博物館(ポーランド語: Muzeum II Wojny Światowej)は、ポーランド北部の港湾都市グダニスクにある国立博物館である。第二次世界大戦の経緯を、ポーランドの視点と他のヨーロッパ諸国の経験を重ね合わせて伝える。建物はグダニスク近郊の都市グディニャを拠点とするクファドラト建築設計事務所(Studio Architektoniczne Kwadrat)の設計で、大きく傾いた赤いタワーと、地下に沈められた展示空間を組み合わせている。
歴史
博物館そのものは2008年、当時のドナルド・トゥスク首相の主導で設立された。建物の国際設計競技は2010年に行われ、ダニエル・リベスキンドを審査委員長とする審査でクファドラトの案が選ばれた。敷地は1945年の戦闘で破壊された旧ヴィアドロヴニア地区にあたり、ラドゥニア運河に面する。建設は2012年に始まり、常設展示を含む博物館は2017年3月に一般公開された。設計の中心を担ったのは、事務所の共同創設者の一人ヤツェク・ドロシュチである。
建築的特徴
建物は「過去・現在・未来」を象徴する三つの領域に分けられている。過去にあたる常設展示は地下に置かれ、現在は建物を囲む広場が担い、未来は高さ約40メートルの傾いたタワーが表す。タワーには図書館や閲覧室、会議室、最上部のカフェとレストランが収まり、グダニスクの街並みを見晴らす。外装には赤みを帯びたプレキャスト・コンクリートとガラスが用いられ、45度近くまで傾く面が広場へと流れ落ちるように構成される。地下では、戦前の街路の敷石を据えた140メートルに及ぶ軸線が、戦争の重さと一条の光を対比させる。
意義・現在
第二次世界大戦博物館は、ヨーロッパでも有数の規模をもつ文化投資として実現し、戦争が始まった都市グダニスクに立つことの象徴性を担う。彫刻的な外観と、展示を地下に沈めるという発想によって、記憶を扱う博物館建築の新たな型を示した。開館後は展示方針をめぐる政治的な議論の対象ともなったが、建築としての評価は定まっている。