ノルウェー国立美術館 National Gallery of Norway
オスロ中心部に建つ旧国立美術館。1882年、ハインリヒ・エルンスト・シルマーとその子アドルフの設計で開館した歴史主義の館で、ムンク《叫び》をはじめとするノルウェー随一の美術コレクションを長く収めてきた。
§1 — 概要概要
ノルウェー国立美術館(Nasjonalgalleriet)は、首都オスロのウニヴェルシテーツガータに建つ歴史主義の美術館建築である。国の美術コレクションを公開する場として1882年に開館し、以後140年にわたりノルウェー最大の絵画・彫刻コレクションを収めてきた。エドヴァルド・ムンクの《叫び》を擁する館として広く知られる。
歴史
美術館という制度そのものは、1836年の議会決議を受けて1842年に発足した。当初は王宮の一室を間借りしていたが、コレクションの拡大にともない独立した館が求められ、1879年から専用館の建設が始まる。設計は、ノルウェーで活躍したドイツ出身の建築家ハインリヒ・エルンスト・シルマーと、その子アドルフ・シルマーが手がけた。建物は1882年に開館し、20世紀初頭の1903年から07年にかけて増築されている。2003年に近隣の諸館と統合して国立美術館(Nasjonalmuseet)となり、2022年にはコレクションがヴェストバーネンの新館へ移された。
建築的特徴
左右対称の堂々としたファサードをもち、ルネサンス建築の語彙を引いた重厚な石積みの外観をそなえる。丸みのあるアーチや古典的な細部を抑制的に用いた意匠は、19世紀後半の歴史主義建築の落ち着いた一例といえる。展示室は自然光を採り込む構成をとり、19世紀の絵画館に求められた採光と動線が意識されている。長い増改築の歴史を経てなお、開館当初の意匠は外観によく保たれている。
意義・現在
本館は、独立間もないノルウェーが自国の美術と文化的アイデンティティを示すために整えた中核施設であり、ムンクら国民的画家の作品が市民に開かれた場として大きな役割を果たした。収めたコレクションにはムンクのほか、マネやセザンヌ、ファン・ゴッホら国際的な巨匠の作品も含まれ、ノルディック美術を中心とする殿堂として親しまれてきた。2012年には外観・内部ともに文化遺産として登録されている。コレクション移転後の現在、建物自体は歴史的建造物として保存と再活用が図られている。