ルクセンブルク国立図書館 National Library of Luxembourg
ルクセンブルク市キルヒベルク地区に立つ国立図書館。ドイツ・ミュンスターの事務所ボレス+ウィルソンの設計で、2003年の設計競技から16年を経て2019年に開館した、赤いプレキャスト・コンクリートの現代建築である。
§1 — 概要概要
ルクセンブルク国立図書館(フランス語: Bibliothèque nationale du Luxembourg、略称BnL)は、ルクセンブルク市の高台に広がるキルヒベルク地区に立つ、大公国の国立図書館である。ジョン・F・ケネディ大通りに面し、漏斗のように内側へ窪んだファサードで来館者を引き込む。設計はドイツのミュンスターを拠点とする事務所ボレス+ウィルソン(Bolles+Wilson)が手がけた。
歴史
ボレス+ウィルソンは2003年の国際設計競技で一等を得たが、当初の計画は、欧州議会が初めて開かれたシューマン棟を図書館へ改修するものであった。その後の政治的な経緯のなかで敷地はケネディ大通りの東端へ移され、建物も新築へと改められた。着工は2014年、開館は2019年10月で、競技から数えて16年を要した。これにより、それまで複数の建物に分かれていた蔵書・職員・公開スペースが、図書館の歴史上はじめて一つ屋根の下にまとまった。
建築的特徴
外装の主役は、表面処理を変えた赤いプレキャスト・コンクリートのパネルである。酸洗いや砂吹きで仕上げを違えたパネルがパッチワーク状に並び、周囲のオフィス群から図書館を際立たせる。内部は入口から諸機能が連続して展開し、玄関ホール、カフェ、その上の会議・セミナー室を経て、段状に重なる閲覧デッキへと上がっていく。貴重書を収める書庫は建物の核として石詰めのガビオンに包まれ、屋上の太陽光発電や夜間冷却など、設備に頼りすぎない環境配慮も組み込まれている。
意義・現在
キルヒベルク地区は戦後建築が点在する孤立した一帯と評されてきたが、イオ・ミン・ペイの現代美術館(Mudam)やクリスチャン・ド・ポルザンパルクのフィルハーモニーに続き、本図書館の開館は、この地区を文化的な都市空間へと変えていく一歩となった。蔵書を守る堅牢な器でありながら、街に開かれた読書の風景をつくり出している点に、現代の国立図書館建築の一つの達成がある。
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