南アフリカ、ポート・エリザベスの多目的競技場。2010年ワールドカップに向けgmpが設計し、湖畔に花弁を広げたような白い大屋根が街の新たな象徴となった。
§1 — 概要概要
ネルソン・マンデラ・ベイ・スタジアム(Nelson Mandela Bay Stadium)は、南アフリカ・東ケープ州のポート・エリザベス(現フヘベルハ)にある多目的競技場である。2010年FIFAワールドカップの開催に合わせて建設された三つの沿岸スタジアムの一つで、ノース・エンド湖を見下ろす市街中心部に立つ。収容は約46,000人で、設計はドイツの設計事務所gmp(フォン・ゲルカン・マルク・アンド・パートナー)が担った。
歴史
南アフリカが2010年大会の開催地に決まると、ポート・エリザベスは既存のラグビー場では基準を満たせないと判断し、新設を選んだ。工事は2007年3月に始まり、2009年3月には最後の屋根トラスが据えられ、世界でも有数の速さで完成した新スタジアムの一つとなった。同年6月には早くも試合に供され、2010年2月に公式の開場式が行われている。大会後はラグビーやサッカーの本拠地、コンサート会場として活用が続く。
建築的特徴
最大の見どころは、湖畔に浮かぶような白い大屋根である。36本の湾曲したトラス梁を放射状に並べ、その間に張った膜が花弁を束ねた花輪のような姿を描く。屋根の構造設計はシュライヒ・ベルガーマン・パートナーが手がけた。昼は素材コンクリートの躯体の上で軽やかに浮かび、夜は内側から照らされて湖上の巨大なランタンのように光る。側面の長い列柱廊にはマンデラの言葉が刻まれ、「自由への長い道」を競技の理念に重ねている。
意義・現在
アパルトヘイト下で大規模なサッカー施設を欠いてきた街に、初めて国際水準の競技場をもたらした建築である。荒廃していた湖畔地区の再生の核として構想され、現在もチッパ・ユナイテッドやラグビーチームの本拠地として、地域のスポーツと催事の中心であり続けている。