バリ島の玄関口となる国際空港。1931年に蘭領期の小さな飛行場として開かれ、2013年にバリ伝統建築の意匠を採り入れた新国際線ターミナルが開業した。設計はバリの事務所HSTほかの共同による。
§1 — 概要概要
ングラ・ライ国際空港(Bandara Internasional I Gusti Ngurah Rai)は、インドネシア・バリ島南部に位置する同島唯一の主要空港である。デンパサール国際空港、バリ空港とも呼ばれ、独立運動の英雄イ・グスティ・ングラ・ライにちなんで名づけられた。2013年に開業した国際線ターミナルは、現代的な施設にバリ伝統建築の意匠を採り入れた点で知られる。
歴史
起源は1931年、蘭領東インド政庁がバリ島南岸の最も狭まった地点トゥバンに造った、全長700メートルほどの草の滑走路にさかのぼる。当初はトゥバン飛行場と呼ばれた。1968年、観光の発展に合わせてイ・グスティ・ングラ・ライ国際空港と改称される。利用客の急増を受け、2010年から大規模な拡張が始まり、2013年9月、APEC首脳会議を控えて新しい国際線ターミナルが開業した。旧国際線ターミナルは国内線へ転用され、国内線ターミナルも2014年に拡張・開業している。
建築的特徴
新国際線ターミナルは三層構成で、波打つ大屋根のもと、バリの寺院に見られる左右に分かれた割れ門「チャンディ・ブンタール」を想起させる構成や、木彫のパネル、浮彫、水を用いた演出など、島の文化的意匠を随所に取り入れている。設計はバリを拠点とするHSTアーキテクツが、ジャカルタの設計事務所と組んでファサードを担当した。ガラス張りの均質な空間ではなく、地域の建築言語を空港という大規模施設へ翻案した点に特徴がある。
意義・現在
ングラ・ライ国際空港は、ジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港に次ぐインドネシア第二の利用者数をもち、バリの観光経済を支える玄関口である。近代的な航空インフラに地域の伝統意匠を結びつけた事例として、空港建築における地域性の表現という観点から注目される。滑走路は海へ突き出した造成地の上にあり、着陸時の景観も特徴の一つとなっている。