ソフィア王妃芸術宮殿 Palau de les Arts Reina Sofia
スペイン・バレンシアに建つ、建築家サンティアゴ・カラトラバ設計のオペラハウス。芸術科学都市の一画をなし、2005年に開場した。世界で最も高いオペラハウスとされる。
§1 — 概要概要
ソフィア王妃芸術宮殿(パラウ・デ・レス・アルツ・レイナ・ソフィア)は、スペイン東部のバレンシア州バレンシアに建つオペラハウスである。バレンシア出身の建築家サンティアゴ・カラトラバの設計により、1996年から建設が進められ、2005年に開場した。高さ約75メートルに達し、世界で最も高いオペラハウスとされる。芸術科学都市と呼ばれる文化複合施設の一画をなし、彫刻的で躍動感に満ちた外観によって、現代バレンシアを象徴するランドマークとなっている。
歴史
建物は、1957年の大洪水を契機に流路を付け替えられた旧トゥリア川の河床跡に整備された公園のなかに建設された。1990年代以降、この細長い緑地にカラトラバが手がける芸術科学都市が次々と築かれ、芸術宮殿はその掉尾を飾る建築として計画された。1996年に建設が始まり、2005年10月8日にソフィア王妃の臨席のもとで落成、翌2006年のベートーヴェン《フィデリオ》上演が最初の本格的なオペラ公演となった。完成後はステージ機構の不具合や外装材の剥落といった課題にも直面したが、その後も改修を重ねながら国際的なオペラ上演の拠点として活動を続けている。
建築的特徴
建物は、二枚の対称的なコンクリート殻に覆われた流線型の本体と、それを覆う約230メートルにおよぶ鋼鉄の庇によって構成される。白いトレンカディスのモザイクが外装を覆い、光を受けて貝殻のように輝く。内部は地上十四層・地下三層に及び、大オペラ劇場をはじめ四つの上演空間を備える。構造体そのものを造形の主題とするカラトラバの手法が貫かれており、エンジニアリングと彫刻的造形が一体となった現代建築の到達点を示している。
意義・現在
ソフィア王妃芸術宮殿は、ビルバオのグッゲンハイム美術館と同様に、現代建築が都市再生と観光の中核となりうることを実証した建物として知られる。一方で、巨額の建設費や開場後の維持をめぐる議論も生んだが、白い殻と羽根状の屋根がつくる劇的な姿は、バレンシアの新たな象徴として広く認識されている。芸術科学都市全体を代表する建築として、現在も多くの来訪者を集めている。