EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture

構造表現主義

Structural Expressionism
年代
1850
地域
国際的
時代
現代

構造表現主義(Structural Expressionism)は、建物を支える構造そのものを、隠さずに——むしろ積極的に見せることを意匠とする立場である。柱・梁・トラス・ケーブルといった力を受け持つ要素を露出し、力の流れを目に見えるかたちで表現する。

その源流は、19世紀の鉄の建築にある。エッフェル塔や鉄道駅の大屋根は、装飾をまとわず、鉄骨の骨組みそのものを堂々とさらして、新しい美をつくり出した。20世紀には、ハイテック建築(ポンピドゥー・センターなど)として、設備や構造を建物の外側へ引き出す方向へと展開する。

この立場では、しばしば建築家よりも構造技師の役割が前面に出る。橋やスタジアムの大屋根、空港のように、大きな力を扱う建築でとりわけ力を発揮し、力学的な合理性がそのまま造形の美へと転化する。組積造が壁の量塊で空間を囲ったのに対し、構造表現主義は、力学を可視化することに美を見いだす。素材は鉄・鋼・コンクリート・ガラスといった工業の産物であり、近代以降の技術と分かちがたく結びついた態度である。20世紀後半には、ピア・ルイジ・ネルヴィのコンクリートの大空間や、フライ・オットーの軽やかな張力構造のように、力学そのものが詩的な造形へと昇華された作例も生まれた。隠すべきものを隠さず、つくり方の論理を率直に示すこの態度は、技術への信頼を最も素直に表す、近代建築のもっとも率直なひとつの系譜であり続けている。

構造表現主義
§1

代表建築

Buildings
構造表現主義 CNタワー
1976 · トロント
CNタワー
John Andrews

トロント中心部に建つ高さ約553メートルの電波塔・展望塔。1976年に完成し、カナダ…

構造表現主義 オーレスン橋
2000 · マルメ〜コペンハーゲン
オーレスン橋
Georg Rotne

デンマークのコペンハーゲンとスウェーデンのマルメを結ぶ、海峡をまたぐ巨大な橋…

構造表現主義 東京タワー
1958 · 港区
東京タワー
Tachū Naitō

東京・芝公園にそびえる総合電波塔。構造家・内藤多仲の構造設計により1958年に完…

構造表現主義 ビスカヤ橋
1893 · ポルトゥガレテ
ビスカヤ橋
Alberto Palacio

スペイン・ビスカヤ県でネルビオン川河口を渡る、現存する世界最古の運搬橋。エッ…