スペイン・ビスカヤ県でネルビオン川河口を渡る、現存する世界最古の運搬橋。エッフェルに学んだパラシオが設計し1893年に開通。2006年に世界遺産へ登録された。
§1 — 概要概要
ビスカヤ橋は、スペイン北部ビスカヤ県で、ネルビオン川の河口をはさむポルトゥガレテとゲチョの両岸を結ぶ運搬橋である。1893年に開通した、現存する世界最古の運搬橋であり、高い鉄塔から吊り下げたゴンドラが人や車を運ぶ独特の姿で知られる。2006年に世界遺産に登録された。
歴史
港湾都市ビルバオへ通じる河口は船舶の往来が多く、高い橋脚や長い斜路を設けずに両岸を行き来する手段が求められていた。設計はギュスターヴ・エッフェルに学んだアルベルト・パラシオが手がけ、運搬橋の機構はフランスの技師フェルディナン・アルノダンが担った。工事は1887年に始まり、1893年7月に開通した。スペイン内戦中には上部構造が爆破され、約4年間運行が止まったが、のちに復旧している。
建築的特徴
両岸に高さ45メートルの鉄塔を立て、その頂部を水平の桁で結び、桁から吊ったゴンドラが河口を横断する。船の通航を妨げないよう橋面を高所に保ったまま、軌道に沿ってゴンドラを滑走させる仕組みである。錬鉄の構造に当時新しかった鋼索を組み合わせた手法は、以後世界各地に建設された運搬橋の先駆となった。
意義・現在
ビスカヤ橋は、19世紀後半の鉄構造技術が生んだ独創的な土木建築であり、機能性と造形美を兼ね備えた産業遺産として評価される。スペインで産業遺産の分類により登録された唯一の世界遺産でもある。吊り下げられたゴンドラは約1分半で対岸へ渡り、日中は数分おきに運行する。塔の頂部には桁に沿った歩廊が設けられ、河口とビルバオ近郊を見渡す展望路としても開放されている。完成から130年を経た現在も年間数百万人が利用する実用の交通機関であり、観光客にも親しまれている。