CNタワー CN Tower
トロント中心部に建つ高さ約553メートルの電波塔・展望塔。1976年に完成し、カナダ国有鉄道が放送用の送信塔として建設した。30年以上にわたり世界一高い自立式構造物であり続けた、トロントとカナダを象徴するランドマークである。
§1 — 概要概要
CNタワーは、カナダのトロント中心部に建つ高さ約553メートルの電波塔・展望塔である。1976年に一般公開され、以後30年あまりにわたって世界一高い自立式構造物であり続けた。テレビ・ラジオ放送の電波を送るための塔として、カナダ国有鉄道(CN)によって建設され、いまではトロント、ひいてはカナダを象徴するランドマークとして知られる。
歴史
1960年代、トロントに高層ビルが林立すると放送電波がさえぎられ、市街を見下ろす高い送信塔が必要となった。カナダ国有鉄道は1973年に建設に着手し、オーストラリア出身の建築家ジョン・アンドリュースを中心とする設計陣のもとで工事が進められた。1975年に構造が完成すると、それまで世界一だったモスクワのオスタンキノ・タワーを抜いて世界一の高さとなり、翌1976年に一般公開された。その高さの記録は、2000年代にドバイのブルジュ・ハリファや広州タワーが現れるまで保たれた。
建築的特徴
CNタワーは、六角形の核から三本の脚が張り出すY字形の断面をもつ、細長い鉄筋コンクリートの塔である。この巨大な軸は、スリップフォーム工法によって、油圧で型枠を少しずつ上へ滑らせながら連続的に打ち上げられ、上へ向かってわずかに細まる輪郭をかたちづくった。地上約340メートルには七層の円盤状の展望台(メイン・ポッド)が設けられ、回転レストランやガラス張りの床をそなえる。さらに上方の約447メートルには、より小さな展望室「スカイポッド」が置かれる。頂部の放送用アンテナは、巨大なヘリコプターで部材を吊り上げて据えられた。
意義・現在
電波塔として築かれたCNタワーは、やがてトロント随一の観光名所となり、年間に多くの人々が展望台からの眺めを楽しむ場となった。完成から30年以上にわたって世界一の自立式構造物の座を保ったことは、20世紀後半のコンクリート構造技術の到達点のひとつとして記憶されている。夜にはさまざまな色の光をまとい、トロントのスカイラインの中心であり続けている。
関連する建築
Related※ CC BY-SA 4.0(継承条件あり)