エスタジオ・ナシオナル・デ・ブラジリア Estádio Nacional de Brasília
ブラジルの首都ブラジリアに立つ多目的スタジアム。1974年開場の旧競技場を建て替え、2013年に再建された。白い柱列が円環状の膜屋根を支え、太陽光発電を備える環境配慮型として知られ、2014年W杯の会場ともなった。
§1 — 概要概要
エスタジオ・ナシオナル・デ・ブラジリアは、ブラジルの首都ブラジリアの連邦直轄区に立つ多目的スタジアムである。正式名称はエスタジオ・ナシオナル・デ・ブラジリア・マネ・ガリンシャといい、同国を代表する名選手ガリンシャの名を冠する。2013年に再建され、収容人員は約7万2千人。観客席を一周する白い柱列が支える円環状の大屋根をもち、環境に配慮した競技施設の先駆として知られる。
歴史
最初のスタジアムは1974年、建築家イカロ・デ・カストロ・メロの設計で「エスタジオ・マネ・ガリンシャ」として開場した。2014年のFIFAワールドカップ開催が決まると、旧スタジアムは2010年に取り壊され、ドイツの設計事務所ゲルカン・マルク・アンド・パートナーズ(gmp)を中心とする陣容で全面的に建て替えられた。新スタジアムは2013年5月に完成し、同年のコンフェデレーションズカップ、翌2014年のワールドカップ、2016年のリオデジャネイロ五輪のサッカー会場として使われた。2022年には命名権により「アレナBRB・マネ・ガリンシャ」の通称が付された。
建築的特徴
最大の特徴は、観客席をぐるりと囲む288本の白い円柱が支える円環状の大屋根である。屋根は中央が大きく開いたドーナツ状で、鋼のケーブルと膜構造を組み合わせた軽量の吊り屋根からなる。林立する柱が古代の神殿を思わせる端正な外観を与える一方、内部は柱のない開放的な観客席を実現している。屋根面には太陽光発電のパネルが敷かれ、雨水を回収・再利用する設備とあわせて、運用に要するエネルギーを自給することを目指して設計された。
意義・現在
建て替えられたスタジアムは、米国グリーンビルディング協会のLEEDで最高位のプラチナ認証を取得し、環境性能を前面に打ち出した競技施設の先例となった。一方、サッカーの盛んな地方を離れた首都に巨大施設を設けたため、ワールドカップ後は本拠とする強豪クラブを欠き、維持費の負担が課題として論じられてきた。現在はサッカーのほかコンサートや各種の催事に用いられ、ブラジリアの計画都市の景観のなかで現代建築の一例として位置づけられている。