スウェーデン南部マルメに建つ高さ190メートルの高層集合住宅。サンティアゴ・カラトラバの設計で2005年に完成し、人体のねじれを抽象化した造形で北欧の臨海再開発を象徴する。
§1 — 概要概要
ターニング・トルソ(Turning Torso)は、スウェーデン南部マルメのヴェストラ・ハムネン地区に建つ高さ190メートル、54階建ての高層集合住宅である。スペインの建築家・構造技師サンティアゴ・カラトラバの設計により2005年に竣工し、2022年にヨーテボリのカルラタワーに抜かれるまで北欧で最も高い建築物であった。人体がねじれる動きを抽象化した造形で広く知られる。
歴史
計画は、エーレスンド海峡に面する旧造船所跡地の再開発を象徴する事業として始まった。カラトラバが発表した彫刻作品「ねじれる胴体」に着想を得て、住宅協同組合HSBが住宅塔としての実現を依頼した。2001年に着工し、2005年8月27日に開場した。147戸の住戸を収め、マレーシアのテレコム・タワーに次ぐ世界で2例目の「ねじれる超高層」として注目を集めた。
建築的特徴
塔は9つの立方体状のブロックを積み重ねた構成で、最下層から最上層までに全体が約90度ねじれる。各階の床は少しずつ回転し、外周を斜めに貫く鋼鉄の外骨格がこの捻れを束ねて構造的に支える。中心の鉛直なコアは鉄筋コンクリート製で、住戸はその周囲に配される。各ブロックはそれぞれ複数階分を内包し、下部のブロックは事務所、上部は住戸に充てられる。構造そのものを彫刻的な表現へと昇華させるカラトラバ固有の手法が、住宅という日常的な用途においても一貫して貫かれている。
意義・現在
ターニング・トルソは、構造とデザインを不可分に扱うカラトラバの作風を象徴する作品であり、ねじれる高層建築という後の潮流に先鞭をつけた。2005年のエンポリス摩天楼賞を受けるなど高い評価を得て、マルメの臨海再開発を牽引する都市的アイコンとなった。建設費は当初の見込みを大きく上回り、施工をめぐる係争も生じたが、現在はマルメを代表する景観として定着している。現在も集合住宅として使われ、ポスト工業都市マルメの再生を語るうえで欠かせない存在である。