オランダ・ハーグにある国際司法の殿堂。1899年のハーグ平和会議を受け、カーネギーの寄付で1913年に竣工した。現在は国際司法裁判所と常設仲裁裁判所が置かれる。
§1 — 概要概要
平和宮(Vredespaleis)は、オランダのハーグに建つ国際司法のための殿堂である。1899年の第一回ハーグ平和会議で設立された常設仲裁裁判所の法廷として構想され、のちに国際司法裁判所もここに置かれた。レンガと石による折衷的なネオルネサンス様式で、戦争を法によって抑えるという理想を建築のかたちに託している。
歴史
1899年の第一回ハーグ平和会議は、ロシア皇帝ニコライ2世の提唱で開かれ、紛争を仲裁で解決するための常設仲裁裁判所を生んだ。その法廷を収める建物が平和宮である。建設資金は、アメリカの実業家アンドリュー・カーネギーが1903年に設けた財団を通じて寄付した150万ドルによる。1905年に出された設計競技には216案が集まり、フランスの建築家ルイ=マリ・コルドニエの案が選ばれた。当初案は予算に対して壮大に過ぎたため縮小され、オランダの建築家ファン・デア・ストールの協力のもとで実施に移された。1907年の第二回ハーグ平和会議の最中に礎石が据えられ、1913年8月28日に開館した。
建築的特徴
左右非対称の構成をとり、隅に高さ約80メートルの時計塔がそびえる。赤レンガと石を組み合わせた重厚な外観は、北方のフランドルの市庁舎建築を思わせる。内部の装飾や調度には、各国から寄せられた建材・工芸品が用いられた。鉄柵・大理石・織物・ステンドグラスなど、世界各地の贈り物が一棟に集められた点に、国際協調という建物の主題があらわれている。建物を囲む庭園は、1908年の競技で選ばれたイギリスの造園家トマス・メイソンの設計による。
意義・現在
1946年以降は国際連合の主要機関である国際司法裁判所が置かれ、常設仲裁裁判所やハーグ国際法アカデミー、平和宮図書館とともに、国際法の中心地として機能している。オランダの国家記念物(Rijksmonument)に指定され、「国際法の首都」と称されるハーグを象徴する建物である。