ポブレー修道院 Poblet Monastery
スペイン・カタルーニャのシトー会修道院。1151年の創建で、アラゴン連合王国の歴代王が眠る王家の霊廟として栄えた。簡素を旨とするシトー会建築の代表例であり、世界遺産に登録されている。
§1 — 概要概要
ポブレー修道院(Reial Monestir de Santa Maria de Poblet)は、スペイン・カタルーニャ州、プラデス山地のふもとに建つシトー会の修道院である。1151年の創建で、簡素と禁欲を旨とするシトー会建築の典型を示すとともに、アラゴン連合王国の王家霊廟としても知られる。1991年に世界遺産に登録された。
歴史
修道院は、南フランスのフォントフロワド修道院から派遣されたシトー会修道士によって1151年に開かれた。同時期に創建されたサンテス・クレウス、バルボナとともに「シトー会の三角形」と呼ばれ、12世紀カタルーニャの開拓と支配の拠点となった。聖堂は1166年ごろから建設が進められ、12世紀末には主要部が完成した。アラゴン王ジャウメ1世以降、歴代の王がここに葬られ、ペーラ4世は戴冠の誓いとしてアラゴン諸王の埋葬地と定めた。15世紀初頭には王マルティ1世が、建築家アルナウ・バルゲースに王宮(マルティ王の宮殿)の造営を命じたが未完に終わった。1835年のスペインの修道院解散令で打撃を受け荒廃したが、20世紀半ば以降に修復が進み、修道生活が再興された。
建築的特徴
聖堂は半円アーチと厚い壁を残すロマネスクから初期ゴシックへの過渡的な様式で、装飾を抑えた清楚な内部空間をもつ。三廊式の身廊にはリブ・ヴォールトが架かり、歴代の王たちの石棺がアラバスター像とともに身廊上に渡されている。中庭を囲む回廊は、ロマネスクとゴシックの両期にわたって整えられ、噴水堂や参事会室、食堂が連なる。建物群はおよそ1万2千平方メートルに及び、外周は要塞的な城壁で囲まれている。
意義・現在
ポブレー修道院は、過剰な装飾を退け、構造と光そのものに美を求めたシトー会建築の理念を体現する。アラゴン王家の霊廟という政治的役割を担った点でも、中世イベリアにおける宗教と王権の結びつきを伝える稀有な遺構である。現在も修道院として機能しており、王家の墓所を含む建物群が一般に公開されている。