シスト橋 Ponte Sisto
ローマのテヴェレ川に架かる歩行者専用の橋。1475年の聖年に向け、教皇シクストゥス4世が古代橋の基礎を用いて1479年までに架けた。古代以来初の新規架橋とされ、中央橋脚の丸い開口「オッキアローネ」で知られる。
§1 — 概要概要
ローマの歴史地区、テヴェレ川に架かる歩行者専用の橋である。左岸のレーゴラ地区(カンポ・デ・フィオーリ界隈)と、右岸のトラステヴェレ地区を結ぶ。教皇シクストゥス4世が架けたためその名で呼ばれ、ルネサンス期のローマがよみがえらせた最初の橋として知られる。
歴史
この地には古代ローマのポンス・アウレリウスが架かっていたが、792年の洪水で大きく崩れ、以後「壊れた橋(ポンス・ルプトゥス)」と呼ばれて長く渡れぬままであった。1475年の聖年を控え、巡礼者の往来を円滑にするため——とりわけ1450年の聖年にサンタンジェロ橋で起きた群衆の将棋倒しの惨事を繰り返さぬため——教皇シクストゥス4世は新たな橋を計画する。1473年に着工し、古代橋の基礎を用いて1479年までに完成した。古代以来、ローマに初めて架けられた新しい石橋であった。
設計は伝統的にバッチョ・ポンテッリの手とされるが、これは16世紀のヴァザーリの記述によるもので、確証はなく異論もある。橋には教皇の紋章と、人文主義者プラティナによるラテン語の銘が掲げられた。
建築的特徴
凝灰岩を芯とし、トラヴァーチンの石材で覆った四連のアーチからなる。最大の特徴は、中央のアーチの上部にうがたれた「オッキアローネ(大きな目)」と呼ばれる丸い開口である。これは石積みの重量を軽くするとともに、増水時に水や流木を通して橋への圧力を逃がす役割をもつ。さらに、水位がこの「目」に達すると大洪水の前触れとされ、水位計のようにも用いられた。
意義・現在
ポンテ・シストは、千年以上の断絶を経てローマが架けた橋として、また実用と意匠を両立させたルネサンスの土木の好例として知られる。19世紀には鉄の歩道が付け足された時期もあったが、20世紀末の修復で取り払われ、本来の歩行者の橋へと戻された。トラステヴェレと中心部の夜の賑わいを結ぶ橋として、今も多くの人が行き交う。
関連する建築
Related※ CC BY-SA 4.0:表示(クレジット)と継承(同一ライセンスでの再配布)が条件。